リースや造花の手放しどきと捨て方。感謝を込めて片づけるための分別とリメイクの考え方

「母の玄関に飾ってあったリースを、いま手に持ってるんです。ゴミ袋の口は開けたんですけど、そこから手が動かなくて」

お花でござるに、そんなご連絡をいただいたことがあります。花を捨てる罪悪感で手が止まる。実家の売却が決まって、荷物を出している最中のことでした。お母さまが亡くなって三年、玄関のフックにかかったままだった造花のリースは、うっすら埃をかぶっていたそうです。

その方が知りたかったのは、燃えるごみなのか燃えないごみなのか、ということでした。でも話を聞いていくと、本当に詰まっていたのはそこじゃない。「これをゴミ袋に押し込むのが、正しいことなのか」。分別の話と、母への気持ちの話が、玄関先でひとつに絡まっていたんです。

明後日の朝が収集日。荷出しは今週末まで。時間はない。それでも手は止まる。

この記事は、その手が止まった場面から、収集日の朝に出し終わるまでを順番に辿ります。造花の分別区分は自治体で分かれるので、まず区分を確定させる方法。リースを素材ごとに外す手順。袋に入らないときの粗大ごみの扱い。神社のお焚き上げに出せるのかどうか。そして、全部捨てる以外の手放し方。

アーティフィシャルフラワーのリースを毎日つくっている店として、素材の中身まで含めてお話しします。

目次

花を捨てる罪悪感と、ゴミ袋の前で止まる手

手が止まるのは、分別の知識が足りないからではありません。「区分」と「気持ち」というまったく別の二つを、ひとつの判断にまとめてしまっているからです。この二つを分けると、今日決めるべきことは急に小さくなります。

区分を決めるのは市町村です。あなたではありません。廃棄物の処理及び清掃に関する法律では、市町村が一般廃棄物処理計画を定め、それに従って収集・運搬・処分を行うと決められています(e-Gov法令検索・廃棄物の処理及び清掃に関する法律 第6条第1項、第6条の2第1項)。造花が可燃か不燃かは、住んでいる市町村のルールブックに書いてある。調べれば終わる話です。

気持ちのほうは、誰も決めてくれません。ただし気持ちにも、実は締切がない。収集日は明後日でも、「母のリースをどう思うか」は今日決めなくていい。

判断を2つに分ける(今日決めるのは区分だけ)

今日やるのは、次の三つだけです。実家のある市町村の分別辞典で造花の区分を調べる。リースを素材ごとに外して袋を分ける。残したいものが一つでもあれば、それだけ別にしておく。

供養したほうがいいのか、兄にどう説明するか、この判断は冷たくないか。こうした問いは、袋を出したあとでも考えられます。むしろ手を動かしているうちに答えが出ることのほうが多い、というのがお花でござるの実感です。

お客さまの声:押し入れに5年しまっていた話

以前、カスタムオーダーのご相談で、こんな話を伺いました。お義母さまの遺品の造花アレンジを捨てられず、押し入れに五年しまっていた方です。

「捨てられないから残したんじゃなくて、決められないから置いていただけだった」と、その方はおっしゃっていました。五年後に開けたとき、埃をかぶった花の中でバラだけが色を保っていて、そのバラ三輪を小さなアレンジに組み直してほしい、というご依頼でした。

五年かかっても組み直せた。ここは強調しておきたいところです。ただ、押し入れに置いた五年間、その方はずっと後ろめたかったとも言っていました。決めないことにも、それなりのコストがかかります。

まず区分を確定させる

造花の分別区分は自治体で分かれます。広島市の家庭ごみ分別50音事典では、造花は「不燃ごみ」と明記されています。出し方は、透明または半透明のじょうぶなポリ袋に入れること(広島市 家庭ごみ分別50音事典)。区分が自治体で分かれる理由は、分別と収集の方法を定めるのが市町村だからです(e-Gov法令検索・廃棄物の処理及び清掃に関する法律)。

一方で、品目別の一覧に「造花」の項目そのものが無い自治体もあります。渋谷区の品目別分別一覧に造花の記載はありません(渋谷区)。同じ造花のリースでも、辞典に載っている市と載っていない区がある。

だから「造花は燃えるごみ」と一般論で覚えても意味がない。実家のある市町村の名前と「ごみ 分別」で検索して、その自治体のページを開いてください。三分で終わります。載っていなければ清掃事務所に電話する。それが最短です。

表①:主な自治体の扱い(造花・金属部分・粗大ごみ基準)

自治体造花の区分針金・金属部分粗大ごみの基準
広島市不燃ごみ(透明・半透明のじょうぶなポリ袋に入れる)記載なし。不燃ごみとして一緒に出す扱い
横浜市分別辞典で要確認(材質別に区分が分かれる)主な素材が金属で一番長い辺30cm未満なら「小さな金属類」金属製は一番長い辺が30cm以上、それ以外は50cm以上
文京区品目別一覧で要確認一辺おおむね30cm以上。事前申込+有料粗大ごみ処理券(A券200円・B券300円)
大阪市品目別一覧で要確認最大の辺または径が30cmを超えるもの。棒状は1mを超えるもの
渋谷区品目別分別一覧に「造花」の記載なし30cm角以上は粗大ごみ

出典は自治体ごとに、広島市横浜市の「小さな金属類」FAQ粗大ごみFAQ文京区大阪市渋谷区

横浜市の「小さな金属類」は、主な素材が金属で、一番長い辺が30cm未満のものを指します。例として挙げられているのがワイヤーハンガーです(横浜市)。リースから外した針金は、まさにこの形状に近い。だから「布の花」と「金属の芯」を分けて考えるのが、どの自治体でも通用する下準備になります。

分別辞典に「造花」が無いときの読み替え

分別辞典に造花の項目が無いときは、材質・サイズ・汚れの程度の三点で読み替えます。渋谷区の場合、区分の判断はこの三点で行うと案内されています(渋谷区)。

材質は、そのリースの主な部分が何でできているか。造花の花や葉はポリエステルが中心で、ほかにポリエチレンやウレタンが使われます(PRIMA)。つまり主材はプラスチック系です。サイズは、渋谷区であれば30cm角以上かどうか。汚れの程度は、リサイクル資源として出せるかの判断に効きます。

それでも迷ったら、自治体の清掃事務所に電話するのが一番早い。「造花のリースを捨てたいのですが、区分が分からなくて」と言えば、その場で答えが返ってきます。お花でござるのお客さまにも、この電話一本で解決した方が何人もいらっしゃいます。

フェイクグリーン(人工観葉)の処分も同じ考え方

フェイクグリーンとは、観葉植物の形につくられた造花のことです。処分の考え方は花の造花と変わりません。葉の部分はポリエステルやポリエチレン、ウレタンといったプラスチック系が主材なので(PRIMA)、区分は造花と同じ扱いになります。

分けるのは三か所。まず鉢。プラスチック鉢と陶器鉢では区分が変わります。次に葉を支えるアルミや鉄のワイヤー、そして幹の支柱。横浜市であれば、主な素材が金属で一番長い辺が30cm未満なら「小さな金属類」です(横浜市)。最後に鉢の中の土台。固めた砂や石、セメントが入っている製品があり、ここは自治体で扱いが分かれるので確認が必要です。

サイズも見てください。大型のフェイクグリーンは鉢を含めると背が高くなります。文京区は一辺おおむね30cm以上、大阪市は最大の辺または径が30cm超(棒状は1m超)が粗大ごみです(文京区大阪市)。鉢から抜けば植物部分だけ小さくなることが多いので、まず抜いてみるのがおすすめです。

リースを手のなかで分解する

造花のリースは、布とワイヤーとテープと接着剤が混ざった複合物です。区分が決まったら、素材ごとに外していきます。アーティフィシャルフラワーは花・葉・つぼみ・茎の各パーツをすべて取り外せると案内されており(横浜ディスプレイミュージアム)、お花でござるが扱う花材もパーツごとに外せます。だから素手と、あればニッパー一本で足ります。

表②:リースの素材別・見分け方と分け先

部位主な素材見分け方分け先の考え方
リボンポリエステル・サテン地の布引っ張ると伸びる。ワイヤー入りは縁が硬い布のみなら可燃系。縁にワイヤーが入っていれば抜いて金属へ
花・葉・つぼみポリエステル中心(ポリエチレン・ウレタンも)指で押すと戻る。焦げたにおいはしないプラスチック系として自治体の区分に従う
内部に太い鉄芯曲げても折れずに形が残る金属。折り曲げて短くすると分けやすい
ワイヤー土台鉄・アルミの輪花材を外すと骨組みだけ残る横浜市なら30cm未満で「小さな金属類」
グルー(接着剤)樹脂花の付け根に半透明の玉として残る樹脂として花材と一緒に扱う
金具・フック金属裏側の吊り下げ部分金属として分ける

茎に太い鉄芯が入っていて、曲げても折れにくいのがアーティフィシャルフラワーの特徴です(PRIMA)。この鉄芯があるおかげで飾ったときに形が保てるわけですが、捨てるときには「布に見えて実は金属が入っている」という状態になります。花を一輪引き抜いて、茎をぐにゃりと曲げてみてください。折れずに曲がったままなら、中に芯が入っています。

【独自】お花でござるのリースの素材内訳

お花でござるが日々つくっているリースを、重さのざっくりした割合で分解するとこうなります。花材(ポリエステルの花と葉)が大半を占めて、次に土台のワイヤーとフローラルテープ、そして固定用のグルー。金具は数グラム。

つくる側から言うと、リースは「土台のワイヤーに、鉄芯入りの茎を巻きつけて、隙間をグルーで留めたもの」です。だから解体は、組んだ順番の逆をやればいい。まず表面の花を外し、次にグリーンを外し、最後にテープを剥がすとワイヤーの輪だけが残ります。お花でござるが試作品をばらすときも、この順番です。

慣れると30cmのリース一つで15分ほど。作業自体は難しくありません。

分解している最中に、残したい1輪が決まることが多い

これはお花でござるがはっきり言い切れることです。リースを解体していると、途中で手が止まる花が必ず一輪あります。

理由はたぶん、埃をかぶった状態では全体が灰色に見えていたものが、外して手のひらに載せると一輪ずつの色が見えるからです。母が選んだ色がそこにある。全部を捨てるつもりで始めた作業が、「これだけは」に変わる瞬間を、お花でござるは何度も見てきました。

だから解体は、捨てるための作業であると同時に、残すものを選ぶ作業でもあります。急いでいても、外した花を一度テーブルに並べてみてください。

袋に入らない大きさだったとき

玄関用のリースは、粗大ごみの基準ぎりぎりの直径になりがちです。お花でござるでつくる玄関用リースは直径30〜40cmが中心で、この直径がそのまま基準に引っかかります。基準は自治体ごとに違います。

文京区は一辺おおむね30cm以上が粗大ごみで、事前申込のうえ有料粗大ごみ処理券を貼って出します。処理券はA券200円・B券300円の二種類(文京区)。大阪市は最大の辺または径が30cmを超えるもの、棒状のものは1mを超えるものが粗大ごみです(大阪市)。横浜市は金属製なら一番長い辺が30cm以上、それ以外は50cm以上(横浜市 粗大ごみFAQ)。

つまり直径40cmのリースは、文京区・大阪市では粗大ごみ、横浜市では素材次第、という具合に分かれます。

分解して基準を下回らせる

粗大ごみ扱いを避けたいなら、分解するのが早い。リースは輪の形が大きいだけで、ばらせば一つひとつは手のひらサイズです。

土台のワイヤーの輪も、ニッパーで一箇所切って伸ばし、さらに何箇所か切れば短くなります。横浜市の「小さな金属類」の基準は一番長い辺が30cm未満(横浜市)なので、30cmを切る長さに切り分ければ通常収集で出せる計算です。ワイヤーの切り口は鋭いので、切った端は内側に折り込んでから袋に入れてください。軍手があると安全です。

ただし、分解して出していいかどうかも自治体の判断です。切り分ければ通常収集で受け付けるところもあれば、元の品目で判断するところもあります。ここも電話一本で確認できます。

粗大ごみは事前申込制。明後日の収集には間に合わない前提で動く

粗大ごみは事前申込が必要です(文京区)。申込から収集日まで日が空くのが普通なので、明後日の可燃ごみに間に合わせたいなら、粗大ごみという選択肢は今回は消えます。

荷出しの期限が今週末なら、現実的な手は二つ。分解して通常収集の基準まで小さくするか、いったん自宅に持ち帰って落ち着いてから申し込むか。持ち帰るという手を、忘れないでください。実家の期限と、リースの期限は別ものです。

神社に持って行こうと思ったとき

造花のリースは、お焚き上げ・どんど焼きの対象外となるのが一般的です。プラスチック・ビニール製のものは有害物質発生のおそれがあるため受け付けないと案内する神社が多く、造花のリースもこれにあたります(小平神明宮)。造花の花や葉はポリエステル中心のプラスチック系です(PRIMA)。

さらに、お焚き上げではプラスチック製のものや食品を受け付けず、金属製・陶器製・石製も不可、梱包のビニールは外して持ち込むよう案内している神社もあります(札幌護国神社)。造花のリースは、プラスチックと金属の両方を含みます。二重に条件を外れる形です。

ただし受付の範囲は神社ごとに決められています。全国一律の決まりがあるわけではないので、持ち込みたい神社の案内を必ず確認してください。

どんど焼きで焼かれるもの

どんど焼きで焼かれるのは、基本的に神札・御守と正月飾りです。古い神札や御守は年末から1月15日頃に氏神さまへ納め、どんど焼きで正月の松飾りとともにお焚き上げされる、と案内されています(北海道神社庁)。しめ縄・破魔矢・お飾りについては、どんど焼きに合わせた仮設の古札納所で受け付ける形をとる神社もあります(小平神明宮)。

つまり、どんど焼きは「新年に神さまをお迎えした縁のものを納める場」です。玄関に飾っていた造花のリースは、そもそもこの枠に入りません。

造花専用の供養の作法は確認できない

人形供養や針供養のように「造花供養」という決まった作法があるかどうか、お花でござるが公的な資料や神社・寺院の公式案内を探した範囲では確認できませんでした。だから「造花はこう供養するのが正しい」とは書けません。

思い入れのある品物として個別に相談を受けてくださる寺社があるかどうかは、地域によって違います。持ち込む前に必ず電話で確かめてください。素材を先に伝えるのが大事で、「布と針金でできた造花のリースなのですが」と言えば、受けられるかどうかはすぐ答えてもらえます。持って行ってから断られると、その日一日が重くなります。

お花でござるがすすめる納め方

宗教的な裏づけのある作法ではなく、お花でござるの考え方としてお伝えします。

袋に入れる前に、リースを両手で持って、一度手を合わせる。それだけです。三十秒で終わります。

お花でござるのお客さまで、お母さまのアレンジを処分された方が「玄関で手を合わせてから外し始めたら、途中から普通に作業できた」とおっしゃっていました。儀式に立ち会ってもらう相手がいなくても、区切りは自分でつけられます。手を合わせたあとに分解に入る、という順番だけ守ってみてください。

全部捨てるか全部残すかの前に

「全部捨てる」と「全部残す」の間に、一輪だけ残して残りを分別する、という手があります。これを選べば「捨てた」ことにはなりません。しかも荷物は増えない。一輪なら、バッグのポケットに入ります。

実家の片づけで難しいのは、期限が全部同じ日に来ることです。でも思い出の物は、期限をずらせます。一輪だけ手元に残して、残りは今週の収集に出す。この分け方なら、明後日の朝に間に合います。

【独自】花材だけ差し替える修理/小さなアレンジへの組み直し

お花でござるでは、カスタムオーダーとして、残した花材を使った組み直しを承っています。

多いのは二つの形です。一つは、リースの傷んだ花だけを新しい花材に差し替えて、土台と残せる花はそのまま使う修理。もう一つは、リースをばらして残った数輪を、小さなアレンジやミニリースに組み直すかたち。手のひらに載るサイズなら、仏壇の脇にも玄関の棚にも置けます。

先ほどのお客さまも、押し入れに五年あったアレンジから、色の残っていたバラ三輪だけを取り出して小さなアレンジに仕立て直しました。「玄関の大きなリースだと重かったけど、これなら毎日見られる」と言ってくださいました。

費用はご予算に応じて。花材が何輪残っているか、土台を新しくするかどうかで変わるので、写真を送っていただければ判断できます。分解する前に写真を一枚撮っておくと話が早い、というのは覚えておいてください。

埃だけなら掃除で戻る

黒ずんで見えるリースが、実は埃の層をかぶっているだけ、ということがよくあります。埃が積もると花の色が沈んで見えるので、乾いた状態で埃を払うと色が戻ることがあるんです。

払い方は乾式に限ります。ドライヤーの冷風で表面の埃を飛ばして、残りをやわらかい刷毛や乾いた布で落とす。お花でござるの経験では、濡らした布で拭いたり水で洗ったりすると、生地の色が移ったり花びらの形が崩れたりしやすい。アーティフィシャルフラワーに水やりは不要ですし、水洗いもしないでください。乾いたまま払うのが確実です。

具体的な手順は造花リースのほこり掃除と長持ちのコツにまとめてあります。捨てる前に五分だけ試してみて、それで色が戻るなら、判断そのものが変わるかもしれません。

兄と1輪ずつ分けて持つ

兄弟で処分を決めるとき、「どちらが引き取るか」で止まることがあります。リースなら、分けられます。

花を外して、兄が一輪、自分が一輪。残りを分別に回す。同じリースから出た花を別々の家に置く形なら、どちらかが折れる必要がありません。お花でござるにも、姉妹で二つの小さなアレンジに組み直したいというご依頼が届いたことがあります。

故人を偲ぶ枯れない花の考え方は供花リースという選択枯れないお供え花の選び方にまとめています。仏壇まわりに置くものを検討されるなら、あわせて読んでみてください。

兄や親戚に説明するとき

用意するものは二つだけです。市の分別辞典のページと、残した一輪。この二つを見せれば、話は終わります。

「市のルールでは造花はこの区分だから、こう出した。ただ、これだけは残してある」。この二文で説明が成立します。分別区分は自分の意見ではなく市町村が決めたことなので(e-Gov法令検索・廃棄物の処理及び清掃に関する法律)、議論になりません。残した一輪が、扱いを軽んじていない証拠になります。

ちなみに令和5年度の実績で、日本のごみ総排出量は3,897万トン、1人1日当たりのごみ排出量は851g(家庭系・事業系の合計)、うち家庭系は475g、リサイクル率は19.5%です(環境省・一般廃棄物処理事業実態調査 令和5年度実績)。誰もが毎日この量を分別区分に従って手放している。造花のリースをルール通りに出すのは、その延長線上にあります。

「感謝して手放す」という言い方の出どころ

「感謝して手放せばいい」という言葉はよく聞きますが、この言い方に宗教的な典拠があるかどうか、お花でござるが調べた範囲では確認できませんでした。だから「そういう教えがある」とは書きません。

お花でござるの考え方としては、こうです。物を手放すときの気持ちの区切りは、外から与えられる作法ではなく、自分でつけるもの。手を合わせるのも、一輪残すのも、写真を撮るのも、全部その区切りのつけ方です。誰かに「正しいやり方」を保証してもらう必要はありません。

表③:断定できることと、できないこと

内容扱い根拠
分別・収集の方法は市町村が定める断定できる事実廃棄物処理法 第6条第1項・第6条の2第1項
造花は広島市で不燃ごみ断定できる事実広島市 家庭ごみ分別50音事典
分別辞典に造花の項目が無い自治体がある(渋谷区)断定できる事実渋谷区 品目別分別一覧
造花の花・葉の主材はポリエステル中心断定できる事実PRIMA(造花卸・公式)
令和5年度のごみ総排出量は3,897万トン、リサイクル率19.5%断定できる事実環境省 一般廃棄物処理事業実態調査
お焚き上げの受付範囲神社により異なる。プラスチック・ビニール製は不可と案内する神社が多い小平神明宮・札幌護国神社
造花の供養にふさわしい作法地域・宗派で割れる。一般に決まった作法があるとはされていない公的資料で確認できず
「感謝して手放す」という言い方根拠が確認できない。お花でござるの考え方として述べている典拠なし
玄関用リースは直径30〜40cmが中心お花でござるの一次情報(制作実績)自社の制作実績
一輪残すと気持ちの区切りがつくお花でござるの一次情報(お客さま対応の経験)自社の実例

手放しどきの目安(次に飾る物のために)

季節のリースには、暦のうえでの区切りがあります。クリスマスリースなら降誕節の終わりが一つの目安です。降誕節は主の降誕の前晩の祈りに始まり、主の公現の後まで続きます。日本では主の公現が1月2日から8日の間の主日に移され、その直後の主日の主の洗礼で降誕節が終わります(カトリック中央協議会)。1月の第2週あたりまで、と覚えておくと迷いません。

暦の区切りがない通年のリースは、状態で見ます。日に当たる面だけ色が抜けてきたら、まず一度。埃を払っても色が沈んだままなら、二度目。土台のワイヤーがゆるんで花がぐらつき始めたら、これは飾りどきの終わりです。アーティフィシャルフラワーは直射日光を避けた使用が推奨されているので(横浜ディスプレイミュージアム)、日当たりの強い玄関では色あせが早く進みます。

次に飾るものを選ぶときは、クリスマスリースはいつから飾る?サイズと色の選び方や、素材の違いをまとめたアーティフィシャルフラワーとリースの用語集が参考になります。

よくある質問

造花は燃えるごみで出していいですか

自治体によります。広島市では造花は不燃ごみで、透明または半透明のじょうぶなポリ袋に入れて出す扱いです(広島市 家庭ごみ分別50音事典)。一方、渋谷区の品目別分別一覧には造花の項目がありません(渋谷区)。分別と収集の方法は市町村が定めるため(廃棄物処理法 第6条)、お住まいの自治体の分別辞典を必ず確認してください。

造花のワイヤーは分けるべきですか

分ける必要がある自治体があります。横浜市の「小さな金属類」は、主な素材が金属で一番長い辺が30cm未満のものを指し、例としてワイヤーハンガーが挙げられています(横浜市)。リースから外した針金や土台のワイヤーは、この形状に近い。アーティフィシャルフラワーの茎には太い鉄芯が入っているので(PRIMA)、外側が布でも中身は金属です。金属部分を分けるかどうかは、お住まいの自治体の分別辞典で確認してください。

フェイクグリーンも造花と同じ捨て方でいいですか

考え方は同じです。フェイクグリーンの葉や幹の主材はポリエステル・ポリエチレン・ウレタンといったプラスチック系なので(PRIMA)、植物部分は造花と同じ区分になります。鉢は素材別で、プラスチック鉢と陶器鉢では区分が変わります。葉を支えるワイヤーや支柱は金属で、横浜市なら主な素材が金属で一番長い辺30cm未満は「小さな金属類」です(横浜市)。鉢の中に固めた砂や石が入っている製品は扱いが分かれるので、区分は自治体の分別辞典で確認してください。

造花を神社で供養できますか

お焚き上げ・どんど焼きの対象外となるのが一般的です。プラスチック・ビニール製のものは有害物質発生のおそれがあるため受け付けないと案内する神社が多く(小平神明宮)、金属製・陶器製・石製も不可としている例があります(札幌護国神社)。造花のリースはプラスチックと金属の両方を含みます。受付の範囲は神社ごとに違うので、思い入れのある品として個別に相談できるかどうかも含めて、持ち込む前に電話で確認してください。

大きなリースが袋に入りません

粗大ごみの基準に該当するかを先に確認してください。文京区は一辺おおむね30cm以上が粗大ごみで、事前申込と有料粗大ごみ処理券(A券200円・B券300円)が必要です(文京区)。大阪市は最大の辺または径が30cmを超えるもの(大阪市)、横浜市は金属製30cm以上・それ以外50cm以上です(横浜市 粗大ごみFAQ)。分解して基準を下回らせる手もありますが、その扱いが認められるかは自治体に確認してください。

母の造花を捨てる罪悪感が消えません

一輪だけ残して、残りを分別する方法があります。お花でござるにご相談くださる方の多くが、この形で区切りをつけています。一輪ならバッグに入りますし、あとから小さなアレンジに組み直すこともできます。分別区分に従って出すことと、故人を大切に思うことは、両立します。すぐに決められないなら、いったん自宅に持ち帰るのも選択肢です。実家の荷出しの期限と、心の期限は別ものです。

造花に耐用年数はありますか

メーカーの公式な案内で「何年」と年数を明示したものは確認できませんでした。アーティフィシャルフラワーは直射日光を避けた使用が推奨されており(横浜ディスプレイミュージアム)、日の当たらない場所で埃を払いながら飾れば長く保ちます。判断は年数ではなく状態で、色あせ・埃の落ちにくさ・土台のゆるみの三点を見てください。

まとめ

玄関先でゴミ袋の口を開けたまま手が止まった時間は、無駄ではありません。あの数分があったから、母のリースは「ただのゴミ」として袋に消えずに済みました。

やることは決まっています。実家のある市町村の分別辞典で造花の区分を調べる。広島市では不燃ごみ、渋谷区では品目一覧に項目がない、という具合に扱いが分かれるので、必ず自分の自治体で確認する(分別を定めるのは市町村です/廃棄物処理法 第6条)。リースを花・グリーン・ワイヤーの順にばらして、袋を分ける。フェイクグリーンなら鉢と植物部分を分ける。お焚き上げは対象外となるのが一般的なので、袋に入れる前に一度手を合わせる。そして、残したい一輪を選ぶ。

明後日の朝には、袋を出せます。手元には一輪。それで十分です。

もし残した花を小さなアレンジに組み直したくなったら、お花でござるのカスタムオーダーでご相談ください。分解する前の写真が一枚あると、話が早く進みます。