造花リースのほこり掃除と長持ちのコツ。玄関に飾りっぱなしでも美しさを保つ方法

「玄関のリース、2年目でなんだか白っぽくなってきて。掃除していいものか怖くて、そのままにしてます」

お花でござるに届いたご相談です。写真を送っていただいたら、リースそのものは全然元気でした。花びらの形も崩れていないし、ワイヤーも緩んでいない。白っぽく見えていたのは、外周の葉に薄く積もったほこりでした。造花のほこり掃除は、やり方さえ決まれば3分で終わります。

ただ、このご相談をいただいたとき、正直すぐには答えられなかったんです。「乾いた筆で払ってください」とは言える。でも、玄関の外に1年掛けたアーティフィシャルフラワー(造花)のほこりが実際どこからどう溜まっていくのか、造花リースの手入れをどの周期でやれば足りるのか、お花でござるはちゃんと見たことがありませんでした。作った直後のリースと、お客さまのお宅で2年経ったリース。その間が抜けている。

だから検証しました。軒のない玄関ドアに、検証用のリースを1本掛けっぱなしにして1年間。雨の日も外さず、掃除もせず、月に一度だけ同じ角度で写真を撮る。造花を長持ちさせる方法と、造花の劣化を防止する条件を、自分の目で確かめたかった。作り手として知りたかったのは、汚れが「どこに」溜まるのかでした。

結果から言うと、汚れる場所は最初から決まっていました。

目次

1年間、玄関ドアに掛けたリースに起きたこと

検証に使ったのは、直径28センチのアーティフィシャルフラワーリース。バラ、アジサイ、ユーカリ、カスミソウを組み合わせた、お花でござるでよく作る定番の構成です。掛けた場所は南西向きの玄関ドア。軒がなく、雨が直接当たり、午後は西日が真正面から差し込む条件でした。

造花のリースは水やりが要らないぶん、掛けたら手を触れずに何ヶ月も過ぎます。だからこそ、放っておくとどうなるかを知っておきたかった。

日本でいちばん過酷な玄関、とまでは言いません。でも「うちと同じだ」と思う方はかなり多いはず。新しい分譲住宅やマンションの共用廊下側は、軒がほとんどないつくりが増えています。

3ヶ月目:外周の葉に薄い膜

最初の変化は3ヶ月目でした。パッと見では何も変わっていません。でも指の腹でユーカリの葉をなでると、うっすら灰色がつく。

膜、という表現がいちばん近い感じです。粉が積もっているというより、葉の表面に薄く張りついている。指で触れば取れるけれど、風では飛ばない程度には定着している。この段階なら、柔らかい筆でなでるだけできれいに戻りました。

面白かったのは、汚れが均一ではなかったこと。リースの外周、それも道路に面した側の葉だけが濃く汚れていました。内側のバラはまだきれいなまま。

半年目:花芯にたまる砂ぼこり

半年を過ぎると、汚れの場所が変わります。今度は花の中心部。

バラの花芯、アジサイの小花が重なった隙間、カスミソウの分岐部分。ここに細かい砂ぼこりが溜まりはじめました。筆でなでても表面しか取れない。奥に入り込んだ粒が残るんです。

このとき初めて、ドライヤーの冷風を使いました。すると隙間の粒がふわっと浮いて出てくる。筆で取れなかったものが、風だと取れる。逆に、葉の表面に張りついた膜は風では飛びません。汚れの種類によって、有効な道具が違う。

そしてもうひとつ気づいたのが、リボンでした。飾りに結んだサテンリボンと、吊るすのに使った麻紐。この2つが、どの花材よりも早く、はっきり汚れていました。

1年目:西日側だけ色が抜けた

1年経って、いちばんはっきり出た変化が褪色です。しかもリース全体ではありませんでした。

西日が当たる右側。そこのバラのピンクだけが、明らかに薄くなっていました。同じリースの左側、ドアの陰になる側は、作ったときの色をほぼ保っています。1本のリースの中で、左右の色が違う。並べて写真を見比べたとき、これはお花でござるとしてもけっこう衝撃でした。

紫外線量は6月から8月がピークです。その3ヶ月で一気に進んだ印象があります。そして褪色は、掃除では絶対に戻りません。ほこりは落ちる。色は戻らない。この差は、後で「直るもの・直らないもの」として整理します。

汚れが溜まった場所を、多い順に並べるとこうなりました。

麻紐の結び目、サテンリボンの折り返し、外周の葉の表側、花芯の奥、花びらの重なり。逆にほとんど汚れなかったのは、リース内側の下向きになっている葉裏と、ベースに近い奥まった部分でした。

上を向いている面、繊維がむき出しの部分、隙間が細かい部分。この3つが汚れの溜まり場です。

玄関の造花のほこりが室内の汚れと違う理由

検証をしていていちばん意外だったのが、玄関の外の汚れは、部屋の中のほこりと性質がまるで違うことでした。

部屋のほこりは、繊維くずや人の皮膚、紙の粉が主成分です。軽くて、乾いていて、静電気でふわっと乗っている。だから羽ばたきでもハンディモップでも落ちます。

玄関の外は、そうはいきません。

砂ぼこりは乾拭きで擦ると傷になる

玄関先のほこりには、土や砂の細かい粒が混ざります。地面から巻き上がったもの。そしてこれが、硬い。

布で拭くと、この砂粒が布と花材の間に挟まって、削ります。造花の花びらには、質感を出すためのコーティングがかかっているものが多い。砂粒つきの布でこすると、そのコーティングに細かい傷が入って、光の反射が変わる。艶が消えて、白っぽくくすんだように見えるようになります。

「拭いたら余計くすんだ」というご相談を何度かいただいたことがあって、原因はたぶんこれです。汚れを落としたのではなくて、汚れごと表面を削っていた。

だから玄関のリースは、拭くより先に「浮かせて飛ばす」。順番が逆になると傷が残ります。

排気ガスの油分がほこりを固着させる

道路に面した玄関では、もうひとつ厄介なものが乗ります。油分です。

自動車の排気や、近隣の調理換気から出る油の粒子は、空気中を漂って表面に付着します。それ自体は目に見えない量ですが、これが薄い膜になると、ほこりを接着してしまう。3ヶ月目に見た「膜」の正体は、たぶんこれでした。

乾いた汚れなら風で飛びます。油で固着した汚れは飛びません。放っておくほど層が重なって、落ちにくくなる。検証用リースでも、道路側の葉だけが濃く汚れていたのは、この差だと考えています。

花粉は静電気で吸い寄せられる

春先だけ、汚れ方が変わります。花粉です。

粒が非常に細かく、そして布花やポリエステルの葉は静電気を帯びやすい。すると、風で運ばれてきた花粉が吸い寄せられるように付く。しかも一度付くと、風では飛びにくい。

対策は単純で、静電気を減らすことです。乾いた化繊のクロスでこするのがいちばんまずい。摩擦で帯電して、掃除した直後からまた吸い寄せます。柔らかい獣毛の筆か、ドライヤーの冷風。この2つが花粉の季節には効きます。

比較表①:汚れの種類 × 見分け方 × 対処法

汚れの種類見分け方有効な対処やってはいけないこと
乾いたほこり白っぽく全体が曇る。指でなでると取れる柔らかい筆/ドライヤー冷風濡らす
砂ぼこり触るとざらつく。花芯や隙間に粒が見えるドライヤー冷風で浮かせて飛ばす乾いた布で拭く
油分を含む固着汚れ灰色の膜状。筆でなでても落ちない薄めた中性洗剤を含ませ固く絞った布で押さえ拭きごしごしこする
花粉春先だけ黄色っぽく粉が乗る冷風+獣毛の筆。静電気を起こさない化繊クロスで乾拭き
雨染み・水シミ輪じみ状に色が濃く残る乾かしてから筆。落ちない場合が多いドライヤー温風で急に乾かす
褪色日が当たる側だけ色が薄い掃除では戻らない。花材の差し替え漂白剤・染色スプレー

固着汚れの押さえ拭きは、いちばん最後の手段です。花材によっては色が動くので、必ず目立たない裏側で試してから。そしてソラフラワーには絶対に使えません(後述します)。

リースの構造とほこりの関係

ここからは作り手の話です。掃除の力加減は、リースがどう組まれているかを知っていると判断できるようになります。

花材はグルーとワイヤーで留めてある

造花のリースは、土台のリング(籐やヤナギ、発泡素材など)に、花材を一つずつ留めて作ります。留め方は主に2つ。

グルー(樹脂の接着剤)で点付けするか、ワイヤーで巻き留めるか。お花でござるでは、大きな花やベースになるグリーンはワイヤーで巻き、隙間を埋める小花や実ものはグルーで留めることが多いです。

つまり、花は面で貼りついているのではなく、根元の一点で留まっています。ここが大事なところ。

強くこすると花が取れる仕組み

花びらを指でつまんで左右に振ると、力は花びらではなく根元の留め位置にかかります。てこの原理です。花びらの先端に加えた小さな力が、根元では大きな力になる。

グルーは硬化すると硬くなります。硬いということは、繰り返し曲げに弱いということ。何度も同じ方向に力がかかると、接着面に細かいひびが入って、ある日ぽろっと外れる。

「そっと拭いたつもりなのに取れた」というご相談は、たいてい花びらの先を持って動かしています。作った側から言うと、力を入れていい場所は根元だけ。花びらの先は、風で撫でるくらいが安全です。

掃除中にどうしても押さえたいときは、花の根元、ベースに近いところを指で支える。そうすれば留め位置に曲げの力がかかりません。

平面のアレンジより溜まりやすい理由

同じ造花のアレンジでも、フォトフレーム型やボックスアレンジと比べると、リースは明らかに汚れが溜まります。

理由は形です。リースは中心が空いた立体で、花材が外向き・上向き・斜めと、いろんな角度を向いています。上を向いた面がたくさんあるということは、ほこりの着地面がたくさんあるということ。

さらに、花と花の間に細かい隙間が無数にできます。この隙間が空気の流れを止めるので、入り込んだ粒がそこで止まる。壁掛けの平面アレンジなら風が表面をなでて通り過ぎるところを、リースは受け止めてしまう。

見た目の立体感と、汚れやすさは同じ理由から来ています。だから「リースだから汚れる」のは避けられない。前提として受け入れて、その上でどこを重点的に手入れするかを決めたほうが早いです。

リボンと麻紐がいちばん汚れる

検証で最も差がついたのがここでした。

サテンリボンは織り目に、麻紐は撚った繊維の間に、ほこりが入り込みます。しかも繊維がむき出しなので、静電気も帯びやすい。花材が「表面にほこりが乗る」のに対して、紐や布は「中にほこりを抱え込む」。

そして厄介なことに、汚れが目立ちます。生成りの麻紐が灰色になると、リース全体が古びて見える。花はきれいなのに、紐のせいで印象が落ちる。

対策は掃除ではありません。交換です。リボンと吊り紐は消耗品と考えて、汚れたら新しいものに替える。この考え方に切り替えてから、お客さまへのご案内もずいぶんシンプルになりました。手芸店で買える幅のリボンなら、ご自分で結び替えていただけます。難しい場合はお花でござるでも承っています。

花材の種類で変わる造花リースの手入れ

同じリースの中でも、花材によって触っていい強さが違います。お花でござるでよく使う素材を、花言葉と一緒に整理しました。

花材花言葉ほこりの付きやすさ触っていい強さ
バラ「愛情」「情熱」花芯と花びらの重なりに溜まる根元を支えれば筆でなでてOK
アジサイ「家族の絆」「和気あいあい」小花の隙間に溜まりやすく、最も要注意触らず冷風のみが安全
ユーカリ「新生」「思い出」葉の表に膜状に付く比較的丈夫。筆で軽くなでられる
カスミソウ「感謝」「幸福」分岐部に粒が引っかかる非常に折れやすい。冷風だけ
ユリ「純粋」「威厳」花びらが大きく面で乗る花びらの根元を支えて筆
ペッパーベリー実もの(花言葉は特にない)粒の間に溜まるぽろぽろ落ちやすい。弱風のみ
ソラフラワー天然素材(花言葉は特にない)多孔質で吸い込みやすい水厳禁。冷風と柔らかい筆のみ

アジサイとカスミソウは、掃除で壊れやすい二大巨頭です。どちらも「細かいものが集まって塊に見える」構造なので、一点に力がかかると簡単に崩れます。この2つは筆すら当てない方針でいいと思っています。冷風だけ。

布花・樹脂・プリザーブド・天然素材の違い

造花と一口に言っても、素材はいくつかに分かれます。ここを知っておくと、劣化を防ぐ手当てが素材ごとに変わります。

布花はポリエステルやシルクの生地を成形したもので、表面にコーティングがかかっています。ほこりは表面に乗るだけなので落としやすい。ただしコーティングが傷つくと艶が変わるので、砂粒つきの乾拭きは避けます。

樹脂素材は、実ものや一部の花芯に使われます。丈夫ですが、紫外線を浴び続けると硬化して脆くなる性質があります。長く屋外に置いた樹脂パーツが、ある日指で触っただけで割れる。検証リースでも実ものの一部にこれが起きました。

プリザーブドフラワーは、生花を脱水・脱色したあと、グリセリン系の保存液と染色液を吸わせて作ります。だから内部に液体を含んでいる。湿度が高いと色が動いて、隣の花材や壁紙に色移りすることがあります。玄関の外には向きません。屋内、それも湿気の少ない場所に限る素材です。

ソラフラワーは、タイなどに育つソラという木の幹の内側(髄)を薄く削って、花のかたちに巻き上げた天然素材です。細かい穴だらけの構造で、これが軽さと質感を生んでいます。裏を返すと、水を一瞬で吸い込む。濡らすと形が崩れて戻りません。ほこりも吸い込みやすいので、こまめな冷風が効きます。ソラフラワーの扱いはソラフラワーのお手入れ方法と長持ちさせるコツでも詳しく書いています。

造花のほこり掃除の道具と手順

道具と手順の話です。検証中に何度も試して、これが残りました。

掛けたまま3分でできる日常のお手入れ

外さなくていいので、思い立ったときにできます。

まず、リースの下に古新聞を敷きます。落ちたほこりが玄関のたたきに散らないように。それからドライヤーを冷風にして、リースから30センチほど離して当てます。近づけすぎると風圧で花が振られるので、少し離すのがコツ。

当てる順番は外周から内側へ。リースの円周に沿って、時計回りに一周させます。上向きの面に風が入るように、少し上から斜めに当てるとよく飛びます。

一周したら、柔らかい筆の出番です。化粧用のチークブラシか、画材屋の刷毛。ヤギやリスの獣毛が理想ですが、柔らかい化繊でも使えます。葉の表面を、根元から先へ一方向になでる。往復させない。往復させると繊維の間にほこりを押し込みます。

これで3分。月に一度やれば、検証リースで見た「3ヶ月目の膜」はほぼ防げます。

外して行う年2回のお手入れ

半年に一度は、外して裏側までやります。おすすめは梅雨入り前と、年末。

外したら、平らなところに置いて、まず裏面に冷風を当てます。裏はほとんど汚れないと書きましたが、ベースのリングとの隙間には意外と溜まっています。

次に花芯の奥。ここはドライヤーの吹き出し口にノズルを付けて、風を細く絞ると届きます。カメラ用のブロアー(ゴム球で空気を送る道具)があるとさらに正確に狙えます。1つあると便利です。

固着した汚れが残っているところだけ、最後に押さえ拭き。薄めた中性洗剤を含ませて固く絞った布を、汚れの上に置いて数秒待ってから、そっと持ち上げる。こすらないで、移し取るイメージです。そのあと水拭き(同じく固く絞る)、乾いた布で水分を取って、風通しのいい日陰で乾かします。

繰り返しますが、これはソラフラワーとプリザーブドには使えません。布花と樹脂だけです。

ドライヤー冷風の当てる向き

風の向きだけで、落ちる量がはっきり変わりました。

外周から内側へ。これは、ほこりを中心の空洞に集めて、そこから下へ落とすためです。逆に内側から外へ吹くと、外周の葉の裏にほこりを押し込むことになります。

円周に沿って動かす。リースの花は、円周方向に流れるように留めてあることが多いです。花の向きに沿って風を流すと、花びらが逆立たない。向かい風になると、花びらの付け根に負担がかかります。

そして必ず冷風。温風は絶対に使いません。理由は次の章で書きます。

比較表②:道具別 向き・不向き

道具向いている汚れ向いていないもの注意点
ドライヤー冷風乾いたほこり全般、砂ぼこり、花粉油で固着した汚れ30センチ離す。温風は不可
柔らかい筆・刷毛葉の表面の薄い膜アジサイ・カスミソウ往復させず一方向に
カメラ用ブロアー花芯の奥、細かい隙間広い面狙いを定めて短く吹く
化粧用チークブラシ花びらの表面実もの(粒が落ちる)毛先が硬いものは避ける
固く絞った布油分を含む固着汚れソラ・プリザーブド押さえて移し取る。こすらない
ハンディモップ室内の平面アレンジ屋外リース全般繊維が引っかかって花が取れる
掃除機すべて吸引で花材ごと持っていかれる

ハンディモップは室内なら便利ですが、玄関の外のリースには使わないでください。柄の部分がリースの隙間に入り込んで、引き抜くときに花を巻き込みます。実際に「モップで拭いたら3つ取れた」というご相談をいただいたことがあります。

やってはいけないお手入れ

一度やると戻せないものを4つ。

水洗い。 いちばん多い失敗です。全体を水に浸けると、花材の中に水が入り、乾くときに輪じみが残ります。グルーは水と熱に弱いので、接着が緩んで花が外れる原因にもなります。ソラフラワーなら、水に触れた時点で形が戻りません。

掃除機。 吸えば早いと思われがちですが、吸引力が花材の保持力を上回ります。ノズルを当てた瞬間に花びらごと吸い込みます。ブラシノズルでも同じ。細いノズルで弱運転にしても、狙ったほこりより先に花が動きます。使わないのがいちばんです。

熱。 ドライヤーの温風、ヘアアイロン、日光で乾かすための直射。グルーは熱で軟化します。柔らかくなった接着面は、そのあと冷えても元の強度に戻りきりません。それと、温風は乾燥を急がせるので、布花の生地が縮んで形が変わることもあります。冷風だけ。

化学ぞうきん・アルコール・除菌スプレー。 化学ぞうきんに含まれる油剤は、ほこりを吸着させるための成分です。花材に移ると、そこから先はほこりを集める面になります。アルコールと除菌スプレーは、コーティングと染料を溶かします。玄関だから除菌を、と考える気持ちはわかるのですが、リースには何も付けないのが正解です。

お客さまから実際に届いた相談

掃除まわりでいただくご相談は、だいたい3つに集約されます。

「花びらが取れた」

いちばん多い相談です。取れた花びらを捨てずに取ってあれば、ほとんどの場合は戻せます。

ご自分で直す場合は、手芸用の速乾ボンドを爪楊枝の先に米粒より少なく取って、花びらの根元だけに付けて、10秒押さえる。付けすぎると乾いたときに白く固まって残るので、少なすぎるくらいでちょうどいいです。

複数取れている、根元から花ごと外れた、どこに付いていたかわからない。この場合はお花でござるにご相談ください。写真を送っていただければ、直せるかどうかの判断はできます。

「色が褪せた、戻せる?」

戻せません。ここは正直にお伝えしています。

染料が紫外線で分解されて起きる変化なので、上から色を足す以外に方法がない。そして染色スプレーは、素材によって色が乗らなかったり、まだらになったりします。プロでも仕上がりを保証しにくい作業です。

現実的な解決は、褪せた花材だけ差し替えることです。検証リースも、西日側のバラを3輪替えたら見違えました。全部作り直すより費用は抑えられますし、他の花材がまだ元気なら差し替えのほうが合理的です。

「玄関の外に飾ってもいい?」

飾っていいです。お花でござるのリースは、屋外に掛けているお客さまのほうが多いくらい。

ただし条件はあります。軒があるかないか。ここで寿命がはっきり変わります。

相談から見えた、汚れやすい家の共通点

ご相談をいただいた玄関の写真を見返していて、はっきりした傾向がありました。

汚れが早い玄関には、軒がありません。もしくは、あっても浅い。雨が直接リースに当たり、乾くときに空気中の汚れを巻き込んで輪じみになる。西日も遮られないので褪色も早い。

もうひとつは、道路との距離です。前面道路が近い、交通量が多い、駐車場が玄関の真ん前。この条件だと油分を含んだ汚れが乗りやすく、固着します。

逆に、深い軒の下、玄関ポーチが引っ込んだ形の家、共用廊下の内側。こういう場所のリースは、2年経ってもほとんど汚れていませんでした。

造花を長持ちさせる方法としての置き場所の設計

環境で寿命が変わるなら、置き場所は設計できます。

比較表③:設置環境別 汚れやすさ × 掃除頻度 × リースの寿命目安

設置環境汚れやすさ掃除の目安見た目を保てる期間の目安
室内(玄関ホール・リビング)ごく少ない3ヶ月に1回5年以上
共用廊下の内側・深い軒の下少ない2ヶ月に1回3〜5年
浅い軒あり・北向き玄関中くらい月1回2〜3年
軒なし・南西向き(今回の検証条件)多い月1回+年2回の分解掃除1〜2年で花材の差し替え検討
軒なし・前面道路が近い非常に多い月2回1年前後で差し替え

期間はあくまで「作ったときの見た目を保てる」目安です。リースが壊れるという意味ではありません。褪色したリースも、味として楽しんでいる方はいます。

軒がない玄関でも長持ちさせる工夫

軒がないから諦める必要はありません。工夫でだいぶ変わります。

掛ける高さを少し上げる。地面から巻き上がる砂ぼこりは、低い位置ほど多く当たります。ドアの中央より少し上に掛けるだけで、下端に付く汚れが減りました。

向きを季節で変える。これは検証中に思いついて、途中から試したことです。半年に一度、リースを180度回して掛け直す。西日が当たる面が入れ替わるので、褪色が片側に集中しません。左右で色が違うあの状態は、これで避けられます。掛け金具が上部一箇所なら、吊り紐の位置を付け替えるだけです。

強い日差しの時期だけ外す。紫外線が最も強いのは6月から8月。この3ヶ月だけ屋内に移すと、色持ちがはっきり変わります。夏は玄関の中に飾って、秋から外に戻す。季節で場所を変える前提にすると、屋外に掛ける造花リースの寿命は倍近くになります。

雨の予報が出たら外す。ここまでやる方は少ないですが、台風の日だけでも外していただけると、飛ばされる事故も同時に防げます。

取り付け方の見直し

汚れの話をしていると、必ず取り付けの話につながります。掛ける高さを変える、季節で外す。どちらも「簡単に着脱できるか」で実行できるかが決まるからです。

賃貸やマンションでドアに穴を開けずに掛ける方法は、玄関ドアにリースを飾る方法にまとめました。マグネットフックの選び方や、風で落ちないための工夫も書いています。着脱しやすい取り付けにしておくと、お手入れの回数が自然に増えます。

飾る場所そのものを考え直したい方は、玄関リースと風水の関係も参考になるはずです。方角と色の相性から置き場所を決めると、汚れにくい面を選べることもあります。

造花の劣化防止と見分け方(直るもの、直らないもの)

ここを最初に切り分けると、無駄に触らずに済みます。触りすぎて壊れるケースは、たいてい「直らないものを直そうとした」結果です。

判定の基準表

症状掃除で直るか対処
全体が白っぽく曇る直る冷風+筆
花芯がざらつく直る冷風・ブロアー
灰色の膜が拭いても残る条件つきで直る押さえ拭き(布花・樹脂のみ)
花びらが取れた直る接着し直す・相談
片側だけ色が薄い直らない花材の差し替え
全体的にくすんで艶がない直らない表面の傷。差し替えか作り直し
雨の輪じみが残るほぼ直らない目立つ花材だけ差し替え
樹脂パーツが割れる・崩れる直らないパーツ交換
ベースのリングが歪む・緩む直らない組み直し

上の4つは、ご自宅で対応できます。下の5つは、掃除では戻りません。ここに時間をかけるより、差し替えを検討したほうが早いです。

直せる場合の相談先

お花でござるでは、他店で購入されたリースのご相談もお受けしています。写真を送っていただければ、直せるか、差し替えたほうが早いか、判断してお伝えします。

多いのは、褪色した花材だけを新しいものに替えるご依頼です。全部を作り直さず、傷んだ数輪だけ。ベースとグリーンが生きていれば、これで見た目はかなり戻ります。作った本人が直すので、元の雰囲気を保ったまま手を入れられるのが強みです。

季節に合わせて花材を入れ替えたい、リボンの色だけ変えたい、というご相談もあります。カスタムオーダーからお気軽にどうぞ。

買い替えを考える目安と価格の考え方

ベースのリングが緩んだら、そこが替えどきです。花材は替えられても、土台が歪むと全体のバランスが戻りません。掛けたときに花が下を向く、正面から見て円が真円に見えない。この段階まで来たら、新しく作ったほうがきれいです。

費用の考え方だけお伝えすると、数輪の差し替えは新規制作よりかなり抑えられます。半分以上の花材を替えるなら、新しく作るのと差が小さくなってくる。だいたい「傷んだ花材が全体の半分」が分かれ目です。

新規のリースは、サイズと花材の量、使う花の種類で費用が変わります。予算に応じてご提案しますので、まずはご希望のイメージをお聞かせください。マルシェ出店時には実物を手に取っていただけますし、質感の違いはやはり実物を見るのがいちばん早いです。

よくある質問

Q. 造花のほこり掃除は、どれくらいの頻度でやればいいですか?

屋外で軒がなければ月1回、軒があれば2ヶ月に1回、室内なら3ヶ月に1回が目安です。ただし頻度より継続のほうが大事で、たまに念入りにやるよりも、月に一度3分の冷風のほうがきれいに保てます。汚れは薄いうちなら風で飛びますが、層になると固着します。

Q. 造花のリースは何年くらい持ちますか?

室内なら5年以上、屋外で軒があれば3年前後、軒がなければ1〜2年で花材の差し替えを考える時期が来ます。壊れて使えなくなるわけではなく、作ったときの色を保てる期間の目安です。造花を長持ちさせる方法としていちばん効くのは、夏の3ヶ月だけ屋内に移すことと、半年に一度180度回して掛け直すこと。この2つだけで、色の持ちがはっきり変わります。

Q. 造花リースの手入れは、どこまで自分でやっていいですか?

冷風を当てることと、柔らかい筆で葉の表面をなでること。この2つは毎回ご自分でやっていただいて大丈夫です。中性洗剤の押さえ拭きは、素材を確かめてから。花が根元ごと取れた、樹脂パーツが割れた、ベースが歪んだ。ここまで来たらご相談ください。

Q. 中性洗剤を使ってもいいですか?

布花と樹脂の花材で、油分を含む固着汚れが残っている場合だけ、薄めて固く絞った布での押さえ拭きに使えます。全体を洗う目的では使えません。ソラフラワーとプリザーブドフラワーには使用不可です。必ず目立たない場所で試してから。

Q. 静電気防止スプレーは効きますか?

リースへの使用はおすすめしていません。成分が花材の表面に残り、そこがほこりを吸着する面になります。花粉の季節は、化繊のクロスを使わないことと、冷風で定期的に飛ばすことのほうが確実です。

Q. リースを収納するときはどうすればいいですか?

平らに置いて、上から何も乗せないこと。押し入れの中では、リースの直径より大きい浅い箱に入れて、いちばん上に置きます。ビニール袋で密閉すると湿気がこもるので、薄い不織布をふわっとかける程度で。潰れた花は形が戻りません。

Q. 雨に濡れてしまいました。どうすれば?

すぐに外して、水を切ってから風通しのいい日陰で自然乾燥させてください。タオルで押さえて水分を取るのは構いませんが、こするのは避けます。ドライヤーの温風で急に乾かすと輪じみが濃く出ます。ソラフラワーが濡れた場合は、形が戻らない可能性が高いので、乾いた段階でご相談ください。

Q. お手入れをすると、逆に傷めないか心配です。

心配なら、まず冷風だけにしてください。触らず、風だけ。これで壊れることはまずありません。筆を使うのは、風で落ちない汚れが見えてからで十分です。触る回数が少ないほど、リースは長持ちします。

まとめ

1年間、軒のない玄関ドアに造花のリースを掛けっぱなしにしてわかったことは、汚れる場所が決まっているということでした。麻紐とリボン、外周の葉の表側、花芯の奥。ここだけ意識すれば、造花のほこり掃除にかける時間は3分で足ります。

そして、汚れと褪色は別のものです。ほこりは冷風と筆で落ちる。色は戻らない。この2つを混同して、褪せた花を強くこすってしまうと、汚れも落ちないまま花だけ傷みます。直るものと直らないものを見分けるほうが、力を入れて掃除するより大事です。

道具はドライヤーの冷風と柔らかい筆、この2つで足ります。水と掃除機と熱は使わない。劣化防止の工夫としては、半年に一度リースを180度回して掛け直すこと。片側だけ色が抜けることがなくなります。造花を長持ちさせる方法は、結局この程度の手間の積み重ねでした。

検証を始める前は、正直「屋外に1年は厳しいだろう」と思っていました。でも1年経ったリースは、西日側のバラを3輪替えただけで、また玄関に戻せる状態でした。花材が替えられる構造で作ってあるかどうか。屋外に飾るリースは、そこがいちばん効きます。

玄関のリースが白っぽくなってきたら、まずドライヤーの冷風を当ててみてください。たいていのリースは、まだ元気です。

お手入れの相談も、差し替えのご依頼も、お花でござるにお声がけください。作った本人が見れば、直せるかどうかはすぐわかります。