退院祝い・快気祝いに贈る花の選び方。病室ではなく自宅に届ける枯れない花という考え方

「病院に花、持っていけなくなったんですね」

マルシェのブースで、40代くらいの女性のお客さまにそう言われました。お母さまの退院祝いに花を贈りたい。でも問い合わせたら、病室は生花禁止、鉢植えもお断りと言われたそうです。退院祝いのプレゼントに枯れない花を選ぶ人が増えた背景も、快気祝いの花の選び方も、快気祝いのリースという形も、お花でござるはこの一言から考え始めました。

正直に書きます。そのとき、お花でござるは知りませんでした。花屋の端くれのつもりでいたのに、贈り先の現場でいま何が起きているかを見ていなかった。恥ずかしくなって、その日の夜から近隣の病院のサイトを片っ端から調べました。

出てきたのは、面会制限のお知らせと並んだ「生花・鉢植えの持ち込みはご遠慮ください」の一文。総合病院ほどはっきり書いてある。ここ数年で当たり前になっていたんです。

だとしたら、退院祝いの花はもう贈れないのか。そうではありません。贈り先を病室から、その人が帰る家の玄関に移せばいい。この記事は、そこから始まります。

目次

病室への生花禁止と、退院祝いの花の贈り先

生花・鉢植えを断る病院が増えた事情

理由はいくつも重なっています。

まず衛生面。花瓶にためた水は雑菌が繁殖しやすく、免疫が落ちている患者さんのいる病棟では避けたい。鉢植えの土にはカビや細菌が含まれることがあって、感染症対策の観点からとくに厳しく見られます。

次に、香りと花粉。同じ部屋に何人も入院している大部屋では、一人が持ち込んだ花の香りが全員に影響します。アレルギーのある方もいる。

そして人手。花瓶の管理も、水替えも、枯れた花の処分も、結局は看護スタッフの手を煩わせることになる。ただでさえ忙しい現場に、その仕事を増やせない。

コロナ禍の面会制限をきっかけに一気に広まって、そのまま定着したという流れです。病院によってはICUや小児科だけ禁止、というところもあります。事前確認は必須。

病室の生花禁止で行き止まりになる贈り手

困っているのは贈る側です。

面会そのものが制限されていて、入院中に会えない。荷物は退院時に本人か家族が持ち帰るので、大きなものは増やせない。かといって「退院おめでとう」の気持ちを、メッセージアプリのスタンプだけで済ませたくはない。

先ほどのお客さまも、まさにそこで止まっていました。「お母さんに何かしてあげたいのに、渡す場所がないんです」と。

贈り先を病室から自宅の玄関へ移す発想

考えてみると、病室は仮の場所です。数日から数週間で出ていく部屋。そこに飾る花は、退院と同時に処分するか、持ち帰る荷物になる。

退院した人が帰る家は、これから何ヶ月も何年も過ごす場所。回復の日々を送るのはそっちです。だったら花は、帰る家に先回りして待っていたほうがいい。

玄関のドアを開けたときに、白と淡いピンクのリースが掛かっている。「おかえりなさい」がドアに掛かっている状態です。お花でござるが退院祝いにリースをおすすめしているのは、この一点に尽きます。

退院日に合わせて自宅に届くよう手配すれば、本人が荷物を運ぶ必要もありません。

枯れない花は縁起が悪いのかという疑問

ご相談でも一番多いのが、この問いです。

「治りが長引くのを連想させる」という説の出どころ

プリザーブドフラワーやドライフラワーを快気祝い・退院祝いに贈るのは避けたほうがいい、という話を見たことがある方は多いと思います。理由として挙げられるのが「長く残る花は、病気が長引くことを連想させる」という説。

この説がどこから来ているかというと、快気祝いの品物選びのマナーが下敷きになっています。快気祝いには「あとに残らないもの」を贈るのが良いとされてきました。洗剤、お菓子、タオル。使えばなくなるものを選ぶことで、「病気もこれきり、あとに残りませんように」という願いを込める。日本の贈答文化の理屈です。

その理屈を花に当てはめると、「残る花=病気も残る」という連想になる。ここから来ています。

ドライフラワーとアーティフィシャルフラワーの違い

ただ、この説には見落としがあります。ドライフラワーとアーティフィシャルフラワーが同じ扱いで語られていること。

ドライフラワーは、生花を乾燥させたものです。花を枯らす工程を通っている。「枯れた花」という言葉が当てはまる。お悔やみの場面で使われることも多く、贈り物として気になる方がいるのは理解できます。

プリザーブドフラワーは、生花から水分を抜いて特殊液で保存加工したもの。元は生花で、色褪せや劣化はゆっくり進みます。数年で寿命が来る。

アーティフィシャルフラワーは、そもそも生花ではありません。ポリエステルやシルクの布を花びらの形に裁断し、ワイヤーと樹脂で組み上げた工芸品です。生きていた時期がない。だから枯れる工程も持たない。

枯れる過程を持たない花と「長引く」連想の噛み合わなさ

「病気が長引く」という連想は、花がゆっくり弱っていく姿から生まれます。萎れる、色が抜ける、散る。その姿が病状と重なるから縁起が悪いとされてきた。

アーティフィシャルフラワーには、その過程がありません。届いた日の色のまま、一年後も同じ色でそこにある。弱っていく姿を見せない花に、「弱っていくことを連想させる」という指摘は当てはまらない。

むしろ逆の読み方ができます。ずっと元気な色のままそこにある花は、「ずっと元気でいてください」の形です。長寿祝いにアーティフィシャルフラワーが選ばれてきた理屈と、まったく同じ。

鉢植えの「根付く=寝付く」と壁掛けリースの線引き

もう一つ有名なタブーが、鉢植えです。「根付く」が「寝付く」に通じるから、お見舞いや退院祝いに鉢植えは贈らない。これは古くからはっきり定着したタブーで、守るべきものだと思っています。

ただし、この語呂合わせが成立するのは、鉢に土があって根が張っているからです。リースは壁掛け。土も鉢も根もありません。掛けるだけ。「根付く」の連想が発生する余地がない。

同じ「長く飾れる花」でも、鉢植えとリースはタブーの当たり方がまったく違います。ここは混同されがちなので、はっきり書いておきます。

それでも気になるときの伝え方

理屈がわかっても、相手の受け取り方は相手のものです。年配の方や、しきたりを大切にされる家に贈るときは、ひと言添えるだけで印象が変わります。

水やりのいらないお花なので、退院直後のお体に負担をかけずに飾っていただけたらと思って選びました

色褪せずにずっと咲いている花です。ずっとお元気でいてくださいという気持ちを込めました

選んだ理由を書くこと。それだけで、贈り物は説明のいらないものになります。お花でござるでカスタムオーダーをいただくとき、メッセージカードの文面をご相談いただくことも多いのですが、いつもこの「理由を書く」をおすすめしています。

快気祝いのリースと、途切れない輪の意味

輪の形が持つ永遠と魔除け

リースの丸い形は、西洋では古くから終わりのない円、つまり永遠の象徴とされてきました。始まりも終わりもない輪。

もう一つ、リースには魔除けの意味もあります。玄関に掛けて災いを寄せつけない。ヨーロッパの家の玄関にリースが掛かっているのは、飾りであると同時に守りでもあるんです。

病気を終えて家に戻る人に贈るものとして、この二つの意味はよく噛み合います。健康が途切れませんように。もう悪いものが入ってきませんように。玄関という場所に、その願いをそのまま掛けられる。

玄関ドアに掛けるだけ、置き場所も水替えもいらない手軽さ

実務的な話もします。リースは掛けるだけです。

花瓶を出す必要がない。置き場所を作る必要もない。花束をいただくと、まず花瓶を探して、水を張って、茎を切って、と一連の作業が発生します。退院した日にそれをやるのは、けっこうな負担。

ドアに掛かっているリースは、受け取った瞬間に完成しています。

お見舞いに来てくれた人の目にも入る場所

玄関という場所には、もう一つの働きがあります。人の目に入ること。

退院後に様子を見に来てくれる親戚やご近所さん、宅配便の方。その全員が、ドアの前で必ずリースを見る。「元気に帰ってきましたよ」という掲示になるんです。

新築祝いのリースをお届けしたお客さまから「玄関を褒められる回数が増えた」と聞いたことがありますが、退院祝いでも同じことが起きます。玄関は、家の中で一番人に見られる場所。新築祝い・引っ越し祝いに花のリースを。玄関に飾る枯れないギフトでも書きましたが、玄関の花は家全体の印象を変えます。

退院祝いのプレゼントに枯れない花という選択

退院してからの一週間

意外に思われるかもしれませんが、退院の日がゴールではありません。

病院にいる間は、食事も出るし、体調が悪ければすぐ人を呼べる。家に帰った途端、全部自分でやることになります。買い物、料理、洗濯、掃除。手術後なら体力は落ちきっているし、痛みが残っていることもある。

お花でござるにご相談くださった方の中に、ご自身が入院を経験された方がいました。「退院して最初の一週間、ソファから動けなかった」と。ご家族が持たせてくれた花束が、その間ずっと台所に置きっぱなしだったそうです。水を替えられないまま、傷んでいく花を見るのがつらかった、と。

その方は今度は自分が贈る側になって、枯れない花を選びました。

花瓶を出す、水を替える、茎を切る——できない日がある

花束の世話は、健康な人にとっては数分の作業です。でも体調が戻りきっていない人にとっては、まず花瓶がどこにあるか思い出すところからのハードルになる。

水替えは基本的に毎日。夏場は特に、水が濁ると花の持ちが一気に落ちます。茎を切り戻す作業も必要。せっかくの贈り物が、日々のタスクになってしまう。

贈った側にその意図はありません。だからこそ、贈る前に考えておきたいところです。

手をかけさせない気づかいという贈り方

退院祝いのリースは、相手に何もさせません。掛けるだけで終わり。水も日光もいらない。

何もさせないことが、いちばんの気づかいになる場面があります。退院直後は、まさにそれ。「元気になったらゆっくり見てね」と渡せる贈り物。

体調が回復してから、じっくり眺めてもらえばいい。それまではただドアに掛かっていてくれる。そういう贈り物です。

退院祝い・快気祝いの花の選び方とタブーの線引き

花粉の多い花、香りの強い花が避けられる理由

退院直後の体は、まだ本調子ではありません。

ユリ(特にカサブランカなどのオリエンタル系)は花粉が落ちます。服や家具につくと落ちにくいうえ、アレルギー反応が出る方もいる。生花店では花粉を取ってから出荷することもありますが、家庭で飾る間に新しい花粉が出てきます。

香りも同じ。体調が悪いときは、普段は心地よい香りが気持ち悪く感じることがあります。抗がん剤治療の後や、術後の吐き気が残っている時期はとくに。ユリ、フリージア、ヒヤシンスあたりは香りが強い花です。

好意で贈ったものが、相手の体に負担をかける。これは避けたい。

花粉ゼロ・無香というアーティフィシャルフラワーの立ち位置

アーティフィシャルフラワーの利点が、ここではっきり出ます。

布と樹脂でできているので、花粉が一粒も出ません。香りもない。アレルギーの心配がなく、においに敏感になっている時期でも部屋に置けます。

退院直後の方、体力が落ちている高齢の方、小さいお子さんのいる家。相手の体調を選ばずに贈れるのは、アーティフィシャルフラワーの大きな強みです。

鉢植え・縁起の良くない花言葉・数字のタブー

避けたほうがいい要素を整理します。

鉢植えは前述のとおり「根付く=寝付く」。椿は花が首から落ちる姿から、病気やけがの快復を願う場面では避けられてきました。菊は日本では仏花のイメージが強い。シクラメンは「死」「苦」の音が入るとして、お見舞い全般で避けられます。

数字では4(死)と9(苦)。花の本数を数える贈り方をするときは気をつけたいところですが、リースは本数を数えて贈るものではないので、この点は自然に回避できます。

色では、白一色や青一色の花は弔事を連想させることがあります。白を使うなら、ピンクやグリーンを混ぜて明るさを出す。お花でござるが退院祝いのリースで白単色を組まないのは、この理由です。

表①:タブーとされる項目とアーティフィシャルフラワーでの扱い

タブーとされる項目避けられる理由アーティフィシャルフラワーでの扱い
鉢植え「根付く」が「寝付く」に通じるリースは壁掛けで土も根もないため該当しない
花粉の多い花(ユリなど)服や家具を汚す・アレルギーの心配花粉が出ないので素材として使える
香りの強い花体調が戻りきらない時期は不快になることがある無香なので香りの負担がない
椿花が首から落ちる姿を連想させる花材として使わない方針
菊(特に白菊)日本では仏花のイメージが強い菊は基本的に避ける。ただしピンポンマムは菊の品種でありながら洋花として流通しているため、洋風の配色に組み込むなら使える
シクラメン「死」「苦」の音を含む花材として使わない
白一色・青一色の配色弔事の花を連想させることがある白にピンクやグリーンを混ぜて明るい配色にする
4本・9本などの本数「死」「苦」に通じるリースは本数を数えないため該当しない
枯れる花全般弱る姿が病状を連想させるという考え方枯れる工程を持たないため該当しない

退院祝いの花にふさわしい種類と花言葉

ガーベラ「希望」を筆頭に

退院祝いのリースを組むとき、お花でござるが真っ先に手に取るのがガーベラです。

花言葉が「希望」「常に前進」。これ以上ふさわしい言葉はありません。しかも形が明るい。花びらが放射状に開いていて、見た瞬間に元気な印象を与える花です。淡いピンクやサーモンピンクのガーベラを一輪入れるだけで、リース全体の空気が変わります。

長寿祝いのリースでも同じ理由でガーベラを使うことが多くて、還暦祝いに花のリースを贈ろう!赤い花の選び方と喜ばれるギフトの秘訣でも触れました。「これから」を応援する場面に、この花はいつも合います。

表②:花の種類と花言葉

花材花言葉向いている相手
ガーベラ「希望」「常に前進」退院祝いの主役。全般に向く
バラ(ピンク)「感謝」「上品」「しとやか」母親・義母・目上の女性へ
カーネーション(ピンク)「女性の愛」「美しい仕草」 ※「感謝」はカーネーション全般の意味母親・祖母へ
トルコキキョウ「優美」「希望」「感謝」目上の方・落ち着いた雰囲気にしたいとき
かすみ草「幸福」「清らかな心」主役の花を引き立てる名脇役
アジサイ「家族の絆」「和気あいあい」家族ぐるみの付き合いがある相手へ
ミモザ「感謝」「友情」「秘密の愛」友人・同僚へ。黄色で元気な印象に
ラナンキュラス「晴れやかな魅力」「魅力的」若い女性へ。華やかにしたいとき
ユーカリ「新生」「思い出」グリーンで落ち着かせたいとき。男性にも

「新生」という花言葉を持つユーカリは、退院祝いに合う素材だと思っています。派手さはないけれど、意味が効く。

リースを組む側から見た配色

配色の話をします。退院祝いのリースで、お花でござるが基本にしているのは白・淡いピンク・グリーンの三色です。

白は清潔感と、新しく始まる感じ。ただし白だけだと弔事に寄るので、必ず他の色を入れます。淡いピンクは血色の色。人の顔色が良くなったときの色で、健康を連想させます。グリーンは葉物で、生命力と落ち着きを担当する。

割合の目安は、グリーンを土台に半分弱、白を三割、ピンクを二割ほど。ピンクが多すぎると誕生日プレゼントのような印象になるので、差し色として効かせるくらいが退院祝いにはちょうどいい。

男性に贈る場合は、ピンクを抜いてグリーンとホワイト、そこにユーカリやコットンを入れます。落ち着いた色味でも、リースの丸い形が明るさを出してくれる。

退院祝い・快気祝い・お見舞い返しの違い

言葉が似ていて混同されやすいところです。整理します。

表③:三つの違い

名称贈る人タイミングのし書き
退院祝い周囲の人から本人へ退院後1週間〜1ヶ月「祝御退院」「御退院御祝」(紅白蝶結び/地域により結び切り)
快気祝い本人から、お見舞いをくれた人へ全快後10日〜1ヶ月「快気祝」「快気内祝」(紅白結び切り)
お見舞い返し本人(または家族)から、お見舞いをくれた人へ退院後、通院が続く場合「御見舞御礼」「退院内祝」(紅白結び切り)

快気祝いののしが結び切りなのは、「もう繰り返さない」という願いを結び目で表すからです。病気は繰り返してほしくないから、ほどけない結び方を選ぶ。

退院祝いは地域や家の考え方で分かれます。「元気になったことを何度でも祝いたい」で蝶結び、「病気は繰り返さない」で結び切り。迷ったら結び切りにしておくと角が立ちません。

本人が贈る快気祝いに花を選ぶという選択肢

快気祝いは「あとに残らないもの」が定番。ただ、これも一律ではありません。

親しい友人や、入院中ずっと支えてくれた家族へ。消えものだけで済ませたくない相手には、枯れない花を選ぶ人が増えてきました。お花でござるにも、ご自身の快気祝いとして「ずっと付き添ってくれた妹に贈りたい」というオーダーが届いたことがあります。

そのときは、感謝の花言葉を中心に組みました。ピンクのバラの「感謝」と、ミモザの「友情」。しきたりに沿うことと、気持ちを伝えることは、いつも一致するわけではありません。相手との関係を一番よく知っているのは贈る本人です。

相場とタイミング

表④:相手別の相場

贈る相手相場の目安
親・兄弟姉妹などの家族5,000円〜10,000円
親戚5,000円前後
友人・知人3,000円〜5,000円
職場の同僚・部下3,000円前後(連名なら一人あたり1,000円程度)
上司・取引先5,000円〜10,000円

高すぎる贈り物は、快気祝いのお返しを用意する負担になります。療養明けの相手に気を遣わせない金額に収めるのが、結局はいちばんの気づかい。

職場から贈る場合は連名がおすすめです。一人あたりの負担が軽く、金額も揃えやすい。

退院後1週間〜1ヶ月という目安と、その理由

退院祝いを贈るタイミングは、退院後1週間から1ヶ月の間が目安です。

退院当日は避けたほうが無難。荷物の運び込みや家の片付けで、家族全員がばたばたしています。そこに宅配便が来ると、受け取りが負担になる。

1週間ほど置いて、生活が落ち着いてから届くようにする。手術後などで療養が続く場合は、体調を聞いてからでも遅くありません。

逆に、1ヶ月以上空くとタイミングを逃した感じになります。遅れてしまったら「遅くなってごめんね」と一言添えれば大丈夫。

なお、退院後も通院や自宅療養が続く場合は「退院祝い」より「お見舞い」の意味合いが強くなります。完治していない相手に「快気」の言葉を使わないよう気をつけたいところ。

予算に応じたリースの選び方

リースは直径で価格が変わります。小ぶりなものは玄関の内側やリビングの壁に。大きめのものは玄関ドアに掛けて存在感を出す。

予算を抑えるなら、直径を小さくしてグリーン主体にまとめると、上品でまとまりのある一点になります。花材を減らすほど安っぽくなるかというと、そうではありません。ユーカリとかすみ草だけで組んだ小さなリースは、控えめでいて品がある。

予算に余裕があれば、メインの花を増やして立体感を出します。ガーベラとバラを複数配置して、リースの厚みを出す。玄関ドアに掛けたとき、遠目からでも華やかに見えます。

お花でござるのカスタムオーダーでは、ご予算と贈る相手を伺ってから花材と直径をご提案しています。「母に贈るので白とピンクで」「男性なのでグリーン中心で」といったご要望に合わせて一点ずつ組んでいます。

お花でござるに届いた退院祝いのオーダー

娘さんから母親へ、白と淡いピンクのリース

冒頭のお客さまは、後日カスタムオーダーをくださいました。

お母さまは60代で、腰の手術のための入院。退院後もしばらくは無理ができない状態でした。ご要望は「派手すぎず、でも明るく」。白と淡いピンクを軸に、グリーンを多めに入れて落ち着かせた直径25センチほどのリースを組みました。

主役はサーモンピンクのガーベラ。「希望」の花言葉を伝えたいということで、メッセージカードにもそう書き添えました。

届いた後、ご連絡をいただきました。お母さまが玄関のドアに掛けて、「ドアを開けるたびに嬉しい」と言ってくださっているそうです。しかも、退院後に様子を見に来た親戚が全員リースを褒めていった、と。

玄関という場所の力を、あらためて感じたオーダーでした。

「造花だと思わなかった」とマルシェで言われた話

マルシェに出店していると、ほぼ毎回言われる言葉があります。

「え、これ造花なんですか」

手に取って、花びらを指でつまんで、それでやっと気づく方が多い。アーティフィシャルフラワーは十年前とは別物です。花びらの縁の色の抜け方、葉脈の入り方、茎の質感。実物を近くで見ても生花と見分けがつかないところまで来ています。

「造花」という言葉から連想される、あの安っぽいプラスチックの花を思い浮かべている方には、ぜひマルシェのブースで実物を触ってみてほしいです。イベント出店の予定はInstagram(@ohanadegozaru)でお知らせしています。

生花のほうが向く相手もいる

正直に書きます。全員にアーティフィシャルフラワーが向いているわけではありません。

花を育てるのが趣味で、自分で花瓶に生けるのが好きな方。そういう方には生花の花束のほうが喜ばれます。花の世話そのものが楽しみになっている人にとって、水替えは負担ではなく日課だからです。

ガーデニングが好きな方に、体力が戻ってから庭に出るのを楽しみにしてもらう。それも回復の力になります。

相手が何を喜ぶかを一番に考える。素材の話は、その後です。お花でござるはアーティフィシャルフラワーの店ですが、相手に合わないものを勧めても意味がありません。

メッセージの言葉選び

忌み言葉・重ね言葉

退院祝いのメッセージでは、避けたい言葉があります。

再び、重ねて、返す返す、たびたび、繰り返し。こうした重ね言葉は「病気の再発」を連想させます。

弱る、倒れる、終わる、寝る、根、落ちる、消えるといった言葉も避けます。「寝る」は「寝付く」に通じるため。

「頑張って」も、実は気をつけたい言葉です。療養中の方は、すでに十分頑張っています。それ以上を求める響きになることがある。「無理なさらないでください」のほうが届きます。

長い文章もいりません。三行あれば十分です。

文例3つ

親・家族へ

ご退院おめでとうございます。
ドアに掛けられる、水やりのいらないお花を選びました。玄関で「おかえり」と言っているつもりです。
しばらくはゆっくり過ごしてください。

友人へ

退院おめでとう。心配してたよ。
枯れない花のリースにしたので、飾りっぱなしで大丈夫。手はかけなくていいからね。
また落ち着いたらゆっくり会おう。

職場の同僚・上司へ

ご退院を心よりお祝い申し上げます。
お手入れのいらないお花を選びました。お部屋のどこかに飾っていただけたら幸いです。
どうぞご無理をなさらず、ご養生ください。

三つとも「手がかからない花を選んだ」ことに触れています。これは相手への配慮を伝えると同時に、なぜ枯れない花なのかの説明にもなる。ひと言入れておくと安心です。

よくある質問

Q. 退院祝いに造花を贈るのは失礼にあたりませんか?

失礼にはあたりません。アーティフィシャルフラワーは百貨店のギフトコーナーでも扱われている贈答品です。ただし「造花」という言葉が持つ古いイメージを気にされる方もいるので、贈るときに「水やりのいらないお花を選びました」と理由を添えると、気持ちがまっすぐ伝わります。

Q. リースは仏事っぽく見えませんか?

配色で決まります。白と紫だけで組んだリースは弔事に寄りますが、ピンクやオレンジ、明るいグリーンが入れば印象はまったく違います。退院祝いのリースは、白にピンクとグリーンを混ぜた明るい配色で組むので、仏事の印象にはなりません。

Q. 病室に飾ることはできますか?

病院の方針次第です。生花・鉢植えは禁止でも造花なら可、という病院もあれば、飾り物全般を禁止しているところもあります。個室か大部屋かでも変わります。必ず事前に病棟に確認してください。基本は自宅に届ける前提で考えるのが安全です。

Q. 胡蝶蘭と比べるとどうですか?

胡蝶蘭は格式が高く、香りも花粉もほとんどないので、退院祝いにも向いています。ただし鉢植えなので「根付く=寝付く」を気にする方には引っかかる可能性がある。それと、置き場所を確保する必要があり、水やりの管理も発生します。格式を重んじる取引先には胡蝶蘭、置き場所や手間を気づかうならリース、という選び分けです。

Q. 男性にリースを贈っても大丈夫ですか?

大丈夫です。ピンクを外して、グリーンとホワイト、ユーカリやコットン、木の実を入れると落ち着いた雰囲気になります。実際、男性の上司へのお祝いにグリーン主体のリースを選ばれた方もいます。玄関に飾ってご家族にも喜ばれた、とご連絡いただきました。

Q. どれくらいもちますか?

アーティフィシャルフラワーは、直射日光を避けて屋内に飾れば数年単位で色を保ちます。玄関ドアの外側に掛ける場合は雨と紫外線の影響を受けるので、屋根のある玄関か、ドアの内側がおすすめです。

Q. お手入れは必要ですか?

ほぼ不要です。ホコリが気になったら、柔らかい筆やドライヤーの冷風で払う程度。水も日光もいりません。半年に一度、様子を見て埃を落とすくらいで十分です。

Q. 出産後の退院祝いにも使えますか?

とても向いています。赤ちゃんがいる家庭では花瓶を置ける場所が限られますし、水を替える時間もありません。壁に掛けるリースなら赤ちゃんの手も届かず、花粉も出ない。淡いピンクや黄色を入れた明るい配色でお作りすることが多いです。

Q. 退院祝いをもらったら、お返しは必要ですか?

全快したら「快気祝」として、いただいた額の三分の一から半額程度をお返しするのが一般的です。通院が続く場合は「御見舞御礼」として。お返しを気にさせない金額で贈るのが、贈る側のマナーでもあります。

退院祝いの花を、帰る家の玄関へ

病室に花を持ち込めなくなったことは、贈り物の終わりではありません。贈り先が病室から、その人がこれから暮らす家に移っただけ。

ドアを開けたときに花が待っている。水やりも花瓶もいらない。花粉も香りもないから、体調が戻りきらない時期でも部屋に置ける。枯れる過程を持たない花だから、「長引く」の連想も生まれない。

お花でござるでは、退院祝いのリースを一点ずつお作りしています。贈る相手、ご予算、配色のご希望を伺ってから花材を決めるカスタムオーダーです。「母に」「上司に」「出産退院の友人に」といったご相談から始めていただけます。

長寿祝いや新築祝いなど、他のお祝いの場面については長寿祝いの花・プレゼント完全まとめ|還暦/古希/喜寿/米寿の色と選び方もあわせてご覧ください。

「おかえりなさい」を、玄関のドアに掛けて。