お供えに造花は失礼?宗派の考え方と、お悔やみの花の色・時期・贈り方

お供えに造花を使ってよいかは、宗派と贈る場所で答えが分かれます。浄土真宗本願寺派は公式サイトで「造花は避けましょう」と明記しています。一方、お墓については、石材店の業界団体である全優石が「造花はいけないというきまりはありません」としています。つまり「造花は失礼」と一律には言えず、「どこに、誰に供えるか」で判断が変わります。

お花でござるはアーティフィシャルフラワーのリースを作っている店ですから、本当は「造花でも大丈夫です」と言いたい。でも、先方のお仏壇の宗派が本願寺派なら、お仏壇用には生花をおすすめします。お仏壇用は生花、お部屋に飾る花なら枯れない花でも差し支えない。これがこの記事の結論です。

お供えに造花は失礼かの答え

お供えの造花は、お仏壇に供えるなら宗派の作法を優先し、お墓やご自宅の飾りとして贈るなら失礼にはあたらない、というのがお花でござるの整理です。お墓については、霊園の決まりがあればそちらが先です。

先方が浄土真宗本願寺派(西本願寺)のお宅なら、お仏壇用の造花は選びません。本願寺派の公式サイトは、お盆の飾り方として「季節の花をいけましょう。ただし、バラのようなとげ花、悪臭花、毒花、造花は避けましょう」と書いています(浄土真宗本願寺派「お盆の紹介」)。お仏壇の花は、このように宗派ごとに作法が決まっています。

お墓は事情が違います。全国優良石材店の会(全優石)の会長、吉田剛さんは「造花はいけないというきまりはありませんし、生花は腐って異臭を放つので、禁止しているところさえあります」と述べ、「亡き人への想いが込められていれば、野花一輪でも、造花一本でもよい供養になるのです」と結んでいます(全優石「お墓に造花をお供えするのはよくないのか?」)。

そして、お悔やみの気持ちを込めてご自宅に贈る花は、お仏壇の中に入れる「仏花」とは役割が違います。玄関や居間に飾ってもらう花であれば、宗派の作法の対象外です。お花でござるが枯れない花をおすすめしているのは、この「お仏壇の外に飾る花」の場面です。

宗派別に見る、お仏壇のお花の決まり

お仏壇のお花の作法は、公式サイトに明文がある宗派と、菩提寺の判断に委ねる宗派に分かれます。公式に確認できた範囲を表にしました。

宗派公式サイトの記述(引用元のページ)造花の扱い
浄土真宗本願寺派(西)お盆の飾り方として、季節の花をいける。とげ花・悪臭花・毒花・造花は避ける避けるべきと明記
真宗大谷派(東)四十九日までの中陰壇の花瓶には樒。お内仏の花瓶は色花を使わず青木など。年忌法要では四季の色花を挿す造花への言及なし。花の種類と色の指定がある
曹洞宗お供えは香り・花・灯明・お水・飲食の五つが基本。詳細は菩提寺に相談造花への言及なし

真宗大谷派の記述は真宗大谷派「葬儀・法事・お墓のこと」、曹洞宗は曹洞宗「お仏壇のまつり方」によります。日蓮宗・浄土宗・真言宗などは、公式サイトに造花の可否を明記したページが見当たりませんでした。見当たらないことは「よい」の根拠にはならないので、お花でござるは「先方の菩提寺に聞くのが確実」とお伝えしています。

宗派がわからないときの進め方は、ふたつです。ひとつは、喪主やご家族に「お仏壇の花は生花がよいですか」と一言たずねること。弔事の確認は失礼ではありません。もうひとつは、お部屋に飾る花として贈ること。これなら宗派の作法とぶつかりません。

お墓に造花を供えるときの考え方

お墓の造花は、霊園の決まりを確かめたうえでなら問題ありません。全優石の見解のとおり、生花が腐って異臭を出すことを理由に生花を禁じる霊園もあります。逆に、花立に置いたままにできるものを限る霊園もあるので、確認先は霊園の管理者です。

お墓参りの頻度が月に1回より少ないお宅では、生花は次に行くまでに枯れています。枯れた花が花立に残る時間のほうが長いなら、造花にして、お参りのときに拭いて整えるほうが、お墓がきれいに保てます。これはお花でござるの意見です。お墓は屋外なので、紫外線で色があせます。濃い色より、白や淡い色のほうが色あせが目立ちにくいと考えています。

お悔やみの花で避ける色と花

お悔やみの花は、白か淡い色を選び、派手な色と香りの強い花を避けます。全日本葬祭業協同組合連合会(全葬連)は供花について「白や淡い色の花を選び、派手な色の花や香りの強い花は避けましょう」としています(全葬連「訃報連絡のマナーと文例集」)。

花の種類では、一般に、とげのある花、毒のある花、香りの強い花が避けられてきました。本願寺派の作法でも、とげ花・悪臭花・毒花が挙げられています。具体的にはバラやアザミ、彼岸花やスズラン、カサブランカのような香りの強いユリです。椿は花ごと落ちる姿が嫌われるとされますが、こちらは地域の慣習で、公式な根拠があるわけではありません。

キリスト教式は花の決まりが別で、色は白一色です。全日本冠婚葬祭互助協会(全互協)は、献花用の花は白菊か白いカーネーションが一般的としています(全互協「キリスト教式の葬儀」)。一方で電報サービスのe-denpoは、キリスト教式では白い菊を使わない点に注意が必要だとしています(e-denpo「供花の相場はいくら?」)。白菊を使う案内と避ける案内の両方があるので、教会か葬儀社の指示に従うのが確実です。

アーティフィシャルフラワーで贈る場合も、色の基準は同じです。白と淡い紫、淡いピンク、グリーンでまとめます。香りも花粉もないので、「香りの強い花を避ける」という基準は自然に満たせます。バラはお悔やみの場面では外します。作り物にトゲがなくても、避けられてきた花だからです。

お悔やみの花を贈る時期と色の目安

お悔やみの花は、通夜から四十九日までは白を基本にし、忌明け後に淡い色を混ぜ、一周忌を過ぎたら故人の好きだった色を添える、という流れが一般的です。

時期色の目安届け先と手配
通夜・葬儀白のみ式場宛て。葬儀社を通して手配
四十九日まで白基調。淡いグリーンを添える程度ご自宅宛て
忌明け〜一周忌白に淡い紫・淡いピンク・淡いブルーご自宅宛て
一周忌以降・お盆・お彼岸・命日淡色中心。故人の好きだった色を添えてよいご自宅宛て
喪中見舞い白〜淡色喪中はがきを受け取ったら年内に

色の目安は一般に広く行われている慣習で、宗派や地域によって細部は異なります。

通夜や葬儀に贈る供花は、通夜当日の午前中までに届くよう手配するのが目安です(e-denpo「弔電と供花はセットで送っても問題ない?」)。式場は受け入れのルールが斎場ごとに違うため、担当の葬儀社を通すのが確実です。

真宗大谷派では四十九日までの中陰壇の花は樒、お内仏の花瓶は色花を使わないとされています。宗派によって「白基調」の中身まで決まっている例なので、四十九日までのお花は、お部屋用として贈るほうが安全です。

喪中見舞いの花を贈る時期

喪中見舞いの花は、喪中はがきが届いたら年内の早いうちに贈り、間に合わなければ寒中見舞いとして1月8日から立春の前日までに贈ります。線香メーカーの日本香堂は、喪中見舞いを贈る時期に決まりはないとしたうえで、年内に品物とメッセージを添えて贈ることをすすめ、年明けなら寒中見舞いとして1月8日ごろから2月3日ごろまでに出すとしています。品物にはお線香やお花がよく選ばれます(日本香堂「喪中見舞いに関するよくある質問」)。

寒中見舞いの期間は、松の内が明けてから立春の前日までです。松の内は関東で1月7日まで、関西など一部地域では1月15日までとされています(日本郵便「寒中見舞いとはどんな風習?」)。関西のお宅に贈るなら、1月16日以降に届くようにすると丁寧です。

弔電に花を添える3つの形

弔電に花を添えることは失礼ではありません。e-denpoは「弔電と供花はセットで送っても、マナー違反ではありません」としています。添え方は3つあり、それぞれ届く場所と時期が違います。

ひとつめは、弔電と供花を別々に手配して、どちらも式場へ届ける形です。供花は葬儀社を通し、通夜当日の午前中までに。この場面の花は白一色です。ご遺族が供花を辞退している場合は、お花代も渡さないほうがよいとされています(e-denpo「家族葬に供花を送る際のマナー」)。訃報に「供花はご辞退申し上げます」とあれば、花は贈らず弔電だけにします。

ふたつめは、花が付いた電報を選ぶ形です。NTT西日本の弔電には、プリザーブドフラワーが付いた台紙があり、午後2時までの申し込みで全国当日配達とされています(NTT西日本「プリザーブドフラワーDENPO」)。申し込みの締め切り時刻と配達地域は変わることがあるので、公式ページで確認してください。弔電と花を一度の手配でまとめられるので、時間がないときに向きます。式場に飾る供花ほどの大きさはありませんが、お悔やみの言葉と花がひとつになって手元に残ります。

みっつめは、弔電は式へ、花は後日ご自宅へ、と時間をずらす形です。お花でござるがいちばんおすすめしたいのはこの形です。葬儀の直後は、ご遺族のもとに花がいくつも届いています。四十九日の前後に、お部屋に飾れる白基調の枯れない花を届けると、気にかけ続けていることが伝わります。

香典や弔電とは別に花が届くことを失礼とする公式な作法は、調べた範囲では見当たりませんでした。お花でござるは問題ないと考えています。花に短い手紙を添えれば、それで十分です。

相場の考え方

お悔やみの花の金額は、式場に出す供花と、ご自宅に贈る花で桁が違います。式場の供花は一基1万5,000円から3万円程度、一対なら3万円から6万円程度が目安とされています(e-denpo「供花の相場はいくら?」)。一方、家族葬でお花代として包む場合は、友人や会社関係者で5,000円から1万円程度、両親や兄弟姉妹で3万円以上が目安です(e-denpo「家族葬に供花を送る際のマナー」)。

ご自宅に贈る花は、この「お花代」と同じくらいの金額を目安にすると、先方の負担になりにくいです。高すぎる花は、ご遺族に「お返しをしなければ」と気を遣わせます。関係性に見合う金額の中で、長く飾れるものを選ぶほうが、受け取る側の負担が軽くなります。お花でござるのカスタムオーダーは相談が無料なので、金額を先に決めてご相談いただいて構いません。

枯れない花を選ぶときの形と贈り方

枯れない花をお悔やみに贈るなら、壁や棚に飾るリースやアレンジメントとして贈ります。お仏壇の中に入れる仏花とは分けて考えます。これなら宗派の作法とぶつからず、水替えも要りません。

四十九日の頃のご遺族は、心身ともに疲れています。そこへ生花がいくつも届くと、水替えと花瓶の用意と傷んだ花の始末が毎日の仕事になります。花材ごとの違いの目安を表にしました。

目安生花プリザーブドフラワーアーティフィシャルフラワー
日持ちの目安数日から2週間ほど1年から数年数年単位。直射日光で色あせる
手入れ毎日の水替え不要。湿気と直射日光に弱い不要。ほこりを払う程度
処分枯れるたびに必要劣化したら買い替えほぼ不要
香りありほぼなしなし

生花の香りとみずみずしさは、枯れない花では出せません。生花を大切にされる方には、枯れない花は物足りないかもしれません。その場合は生花を選んでください。贈る側の都合より、受け取る方の気持ちが先です。

お花でござるはマルシェやカスタムオーダーで、お供えの花のご相談を受けることがあります。供花・仏壇用のリースも作っています。お悔やみ用には、白と淡い色でまとめ、お写真のそばや仏壇の横の壁に掛けられる大きさをおすすめしています。素材には、植物の茎から作られるソラフラワーも使います。天然素材のやわらかい白が、お悔やみの場面になじみます。

ソラフラワーの性質はソラフラワーとは?造花・ドライフラワーとの違いに、仏壇まわりの造花の考え方は仏壇に造花はマナー違反?にまとめています。

カスタムオーダーの相談は無料で、フォームのほかInstagramのDMでも受けています。納期の目安は相談から納品まで2〜3週間ほどです。四十九日に合わせるなら、そこから逆算して早めにご相談ください。ギフトラッピングとメッセージカードに対応していて、輸送中に形が崩れないよう梱包して発送します。

喪中見舞いの花に添える文例

花に手紙を添えるときの文例をふたつ。長く書かず、数行にとどめます。

喪中はがきで訃報を知ったとき。「このたびは喪中のお知らせをいただき、初めてご逝去を知りました。存じ上げず、お悔やみも申し上げられなかったこと、心よりお詫び申し上げます。心ばかりのお花をお送りいたしますので、お部屋にお飾りいただければ幸いです。寒さが厳しくなる折、どうかご自愛ください。」

四十九日のあと、落ち着いた頃に贈るとき。「ご逝去から日が経ちましたが、その後いかがお過ごしでしょうか。おだやかなお顔を思い出すたび、寂しさがつのります。ささやかですが、お花をお送りいたします。お手入れのいらないお花ですので、どうぞお気兼ねなくお飾りください。皆さまがおだやかに過ごされますよう、お祈りしております。」

「重ね重ね」「たびたび」「再び」などの重ね言葉は避けます。「ご冥福をお祈りします」は仏教の表現なので、先方の宗教がわからないときは「安らかなお眠りをお祈りいたします」にすると、どの宗教にも障りません。

よくある質問

浄土真宗のお宅に造花のお供えを贈っても大丈夫ですか?

お仏壇用としては避けてください。浄土真宗本願寺派は公式サイトで、お盆の飾り方として「とげ花、悪臭花、毒花、造花は避けましょう」と明記しています。お部屋に飾る花として贈るか、生花を選ぶのが安全です。

お墓に造花を供えるのは失礼ですか?

失礼にはあたりません。全優石の会長は「造花はいけないというきまりはありません」としています。ただし霊園ごとに花立に置けるものの決まりがあるので、管理者に確認してから供えてください。

弔電と一緒にお花を贈ってもいいですか?

問題ありません。e-denpoは「弔電と供花はセットで送っても、マナー違反ではありません」としています。式場宛ての供花は葬儀社を通して通夜当日の午前中までに、後日ご自宅宛てなら白基調の花が向いています。

香典や弔電に花を添えると出すぎた真似になりませんか?

失礼にあたるとする公式な作法は、調べた範囲では見当たりませんでした。お花でござるは、香典や弔電とは別に、四十九日の前後にご自宅へ花を届けても差し支えないと考えています。ご遺族が供花を辞退している場合だけは、花もお花代も控えてください。

ドライフラワーをお供えにしても失礼ではありませんか?

お悔やみの場面では、お花でござるはおすすめしていません。ドライフラワーは茶色やくすんだ色が多く、白基調という供花の基準に合わせにくいからです。枯れない花で贈るなら、白が出せるアーティフィシャルフラワーかソラフラワーが向きます。

喪中見舞いの時期を逃してしまったら?

1月8日ごろから立春の前日までに「寒中見舞い」として贈れば失礼にあたりません。関西など松の内が1月15日までの地域には、1月16日以降に届くようにします。

宗教によって花の注意点は変わりますか?

変わります。キリスト教式は白一色で、全互協は白菊か白いカーネーションが一般的としていますが、e-denpoは白い菊を使わないよう案内しています。案内が分かれているので、教会か葬儀社の指示に従ってください。神式は、e-denpoによると白い菊や百合がよく使われ、白基調のアレンジメントが基本です。手紙では「ご冥福」「供養」が仏教の言葉なので、宗教がわからないときは使いません。

この記事を書いた人

お花でござる 店主

アーティフィシャルフラワーのリース専門店「お花でござる」を運営しています。販売はサイトの通販とマルシェ出店で、常設の店舗はありません。マルシェやカスタムオーダーで、お供えや長寿祝いなど贈り物のご相談を受けています。供花・仏壇用のリースのカスタムオーダーも受けています。