開店祝い・周年祝いに枯れない花のリースを。お店に飾り続けられる贈り物の選び方

目次

「造花って失礼になりませんか」と聞かれた日

去年の秋、マルシェのブースでリースを見ていた女性から、こう相談されました。友人が美容室を開くので開店祝いにリースを贈りたい。でも調べたら「造花はNG」と書いてあるサイトが出てきて、手が止まってしまった、と。開業祝いの花は枯れないほうがいいはずなのに、と首をかしげていました。

その方は10分ほど悩んで、最後にこう言いました。「あの子、朝から晩まで店にいるんです。水替えする時間、たぶんない」。

先に結論を書きます。開店祝いにアーティフィシャルフラワーのリースを贈るのは、失礼にあたりません。むしろ飲食店・美容室・治療院のように衛生と手間がシビアな業種では、贈られた側の負担が軽い分、喜ばれる場面が多い。ただし例外もあります。相手が生花業に関わる方、格式を重んじる企業、伝統的な業界の開業。そこは正直にお伝えします。

この記事では、お花でござるが実際に納めたリースと、開店から1週間後の店内で起きていることを軸に、開店祝いの花選びを整理しました。周年祝いの花をギフトに選ぶときの考え方も後半に置いています。

開店祝いにアーティフィシャルフラワーは失礼か

「失礼」と書いているのは誰か

「開店祝い 造花」で検索すると、失礼だと書いた記事がいくつも並びます。読み比べてみると、根拠として挙げられているのは主に2つ。「造花は枯れない=発展しないという意味になる」「安物の印象を与える」。

前者は出典が見つかりません。冠婚葬祭のマナー書をあたっても、開店祝いで造花を禁じた記述にはたどり着けませんでした。後者は、ビニール製の廉価な造花が主流だった時代の印象がそのまま残っているのだと思います。

いまのアーティフィシャルフラワーはポリエステルやシルクを高温成形したもので、花びらの縁の透け方や葉脈まで作り込まれています。1メートル離れれば、生花かどうか見分けられる方はほとんどいません。実際、納品先で「これ造花なんですよ」とお伝えして驚かれることが何度もありました。

花粉・香り・虫を持ち込まない意味

造花を贈る積極的な理由は、ここにあります。

生花には花粉が落ちます。ユリの花粉はクロス地やタオルに付くと落ちにくい。香りも強く、飲食店では料理の匂いとぶつかります。そして切り花には、まれに小さな虫が付いてくる。保健所の立ち入りを控えた飲食店にとって、これは無視できない話です。

アーティフィシャルフラワーは、そのどれも持ち込みません。花粉ゼロ、無香、水を張らないので虫も湧かない。開店直前の、いちばん神経を使っている時期の店内に置くものとして、条件が揃っています。

それでも生花を選んだほうがよい相手

正直に書きます。生花のほうがいい場面はあります。

花屋・園芸店の開業、生花を扱う飲食店(フラワーカフェなど)。同業への造花はさすがに配慮を欠きます。それから、大手企業の支店開設や、歌舞伎・落語といった伝統芸能に関わる開業。ここは胡蝶蘭やスタンド花という「型」が強く残っていて、外すと目立ちます。

もうひとつ、相手が「花は枯れるから美しい」という価値観をはっきり口にする方の場合。これは好みの問題なので、無理に説得するものではありません。

お花でござるが納めた開店祝いのリースの実例

これまでにお納めした開店祝いのリースで、印象に残っているものをいくつか。

千葉の小さなパン屋さん。ドアが木製で、直径30センチほどの白とグリーンのリースをお納めしました。オーナーさんから「営業中の札の隣に掛けてます」と写真が届きました。

女性オーナーの整体院。施術室に香りを持ち込みたくないというご要望で、くすんだピンクとベージュでまとめたリースを受付カウンター上の壁へ。

そして、いちばん嬉しかったのがネイルサロン。開店祝いに贈られたリースを、そのままサロンの撮影背景として使ってくださっていて、いまもインスタの投稿に写り込んでいます。

開店祝いの花が、1週間後にたどる道

開店3日目に下げられるスタンド花

開店祝いのスタンド花は、だいたい3日から1週間で下げられます。これは業界の慣習で、贈った側も「開店の華やかさを演出するもの」と了解している。ただ、贈った人の多くはその後を見ていません。

飲食店の店長さんに聞いた話です。開店日に届いたスタンド花が6基。入口の両脇に並べたものの、翌日には歩道の通行の妨げになると指摘が入り、3日目には全部下げた。花はまだきれいだったそうです。

水替えと処分は誰がやるのか

開店直後というのは、店にとって1年でいちばん忙しい期間です。オペレーションが固まっていない、スタッフも慣れていない、想定外のことが毎日起きる。

その最中に、花瓶の水替えが発生します。夏場は毎日。萎れた花を抜き、切り戻し、水を換える。スタンド花なら解体して、生花は生ごみ、スタンドは業者に返却または処分。粗大ごみの日を調べて、シールを買いに行く。

この作業を誰がやるか。たいていは、オーナー本人が閉店後にやります。

開業祝いの花が枯れないという実測

お花でござるが最初に開店祝いのリースをお納めしたのは、2022年の春です。埼玉のカフェでした。

先日そのカフェに立ち寄ったら、リースはレジ横の壁に掛かったままでした。3年と数か月。色は少しだけ落ち着いていましたが、遠目にはお納めしたときのままです。オーナーさんが「常連さんに『あの花、いつも咲いてるね』って言われるんですよ」と笑っていました。

開店祝いに贈ったものが3年後もその店にある。この確率が高いことが、リースを勧めているいちばん実務的な理由です。

リースの輪が縁起物である理由

途切れない縁、終わりのない輪

リースの起源は古代ローマの月桂冠で、勝利と栄誉の象徴でした。ヨーロッパでは玄関に掛けて、家の繁栄と魔除けを願う習慣が定着しています。

輪には始まりも終わりもありません。だから「途切れない」ものの象徴として扱われてきました。お客さまとの縁、取引先との縁、スタッフとの縁。開店という、これから縁を結んでいく日に贈るモチーフとして、輪はよく合います。

日本にも、しめ縄という輪の縁起物があります。輪を縁起物とみなす感覚は、西洋だけのものではありません。この点はお正月飾りのしめ縄リースの記事でも詳しく書きました。

繁栄と循環の象徴として

商売において、輪はもうひとつの意味を持ちます。循環です。仕入れて、売って、また仕入れる。お客さまが来て、満足して、また来る。この回転が止まらないことが、店が続くということ。

「商売繁盛」を花のかたちで表すなら、輪はかなり素直なモチーフだと思っています。

「枯れた花は不吉」への回答

開店祝いに関しては、造花より生花のほうが気を遣う場面があります。萎れた花を店先に置いておくことです。

飲食店のオーナーさんから「もらった花が茶色くなってきたけど、贈ってくれた人が来るかもしれないから捨てられない」と相談されたことがあります。これは贈った側が意図しなかった負担です。

枯れないリースには、この問題が起きません。

スタンド花・胡蝶蘭とリースの違い

開店祝いの三択を、実務の観点で並べました。

スタンド花胡蝶蘭アーティフィシャルのリース
設置場所店頭・歩道床置き・棚上壁・ドア・カウンター上
専有面積約0.5〜1平米約0.1〜0.3平米床面積ゼロ
手入れ不要(すぐ下げる)週1回の水やりホコリを払う程度
寿命3日〜1週間1〜3か月数年
処分スタンド返却・生花廃棄鉢の処分・株の管理不要
再利用不可開花には技術が必要毎日そのまま
花粉・香りあり少ないなし

床を1平米も奪わない

小さな店ほど、床は売上に直結します。10坪のカフェで1平米を花に取られると、テーブル1卓が置けません。開店直後の週末に1卓失うのは、けっこうな金額です。

リースは壁に掛かるので、床を取りません。ここは意外と感謝されるポイントで、「置き場所に困らなかった」という感想をいちばん多くいただきます。

壁・ドア・カウンター上という選択肢

掛ける場所は、入口ドアの内側、レジ横の壁、待合スペースの壁、カウンターバックが定番です。イーゼルに立てかけて置き型にすることもできます。

贈る前に「壁に掛けられる場所ありますか」と一言確認しておくと確実です。石膏ボードなら細いピン1本で留まる重さなので、賃貸の店舗でも問題になりません。

飲食店の開店祝いの花と、業種別の花粉・香りの実務

飲食店。厨房・客席への花粉の落下は避けたいところ。香りの強い花は料理の香りとぶつかります。保健所の観点でも、生花より造花のほうが説明が楽です。

美容室。カラー剤やパーマ液の匂いが強い空間なので、香りの競合は起きにくい。ただし花粉はタオルやケープに付くと厄介です。壁面の高い位置に掛けるリースが向いています。

整体・エステサロン。アロマを焚く店が多く、花の香りは邪魔になります。無香であることが条件になる業種。ベッド周りに水を置かなくていいのも安心材料です。

教室・スクール。子どもや不特定多数が出入りするので、花粉症への配慮が要ります。手の届かない壁面に掛けられるリースは、この点で相性がいい。

開店祝いのリースに選ぶ花と色

赤・オレンジが繁栄の色とされる背景

開店祝いには、赤やオレンジといった暖色がよく使われます。赤は日本では古くから魔除けの色で、店の入口に掲げる縁起の色でもあります。オレンジや黄色は「実り」「収穫」を思わせる色。商売の繁盛を願う色として素直です。

花材ごとの花言葉をまとめました。

花材花言葉開店祝いに合う理由
バラ(赤)「情熱」「愛情」華やかで主役になる。店の顔にふさわしい
ガーベラ(オレンジ)「冒険心」「我慢強さ」独立・開業という挑戦に重ねられる
ダリア「華麗」「感謝」大輪で存在感があり、写真映えする
ひまわり「憧れ」「あなただけを見つめる」明るく前向き。カフェや教室に合う
カスミソウ「幸福」「感謝」隙間を埋めて全体を上品にまとめる
ユーカリ「新生」「思い出」新しい門出に添える葉物として定番
オリーブ「平和」「知恵」実付きは繁栄の象徴として喜ばれる

個人的に好きなのは、オレンジのガーベラ×ユーカリの組み合わせです。「冒険心」と「新生」。開業という決断に、ちょうど言葉が揃います。

店舗の内装色に合わせる考え方

ただ、縁起の色だけで決めると失敗します。贈り先の内装と喧嘩したリースは、飾ってもらえません。

木とアイボリーで統一したナチュラルな店に真っ赤なリースを送ると、そこだけ浮きます。逆に、黒とゴールドのシックな内装なら赤は効きます。

判断がつかないときは、相手のインスタを見てください。店内の写真が数枚あれば、床材の色、壁の色、照明の色温度がわかります。それに寄せた色で組めば、まず外しません。

店名・ブランドカラーで仕立てるカスタムオーダー

打ち合わせで実際に聞かれること

お花でござるにカスタムオーダーをいただくとき、こちらから伺うのは決まって次の点です。掛ける場所と、そのおおよその幅。店の内装で使われている色。店名とロゴがあればその画像。相手の好きな色や苦手な色。そしてご予算。

逆に、お客さまからよく聞かれるのはこの3つ。「サイズ感がわからない」「相手の好みが読めない」「間に合いますか」。

サイズは、ドア掛けなら直径25〜35センチ、店内の壁面で存在感を出すなら40センチ前後が目安です。相手の好みが読めない場合は、白・グリーン・ベージュのニュアンス系でまとめると、どんな内装にも収まります。

ロゴの色をリースに落とし込む

いちばん喜ばれるのが、ブランドカラーを組み込んだリースです。

ロゴがくすんだ青のヨガスタジオに、青のアジサイと白のラナンキュラス、シルバーグリーンの葉物でまとめたリースをお納めしたことがあります。オーナーさんが「うちの色だ」と言ってくださって、あの反応は忘れられません。

ロゴの色は、画像から1色か2色だけ拾うのがコツです。全色を花にすると、まとまりが消えます。

制作にかかる期間と依頼の目安時期

カスタムオーダーは、デザインのご相談から納品まで2〜3週間ほど見ていただいています。花材の取り寄せが入ると、もう少し。

開店日が決まったら、3週間前にはご相談いただけると安心です。オープン直前は先方も連絡がつきにくくなるので、掛ける場所の確認を早めに済ませておく意味でも、早いに越したことはありません。

リースに名前とメッセージを添える方法

スタンド花には立札が付きます。リースにも同じ役割のものを添えられます。

お花でござるでは、リボンにメッセージを刻んだタグを結ぶか、木製のミニプレートをリースの下部に取り付ける方法をとっています。プレートには店名やお祝いの言葉、贈り主の名前を入れられます。

文例をいくつか。

法人から取引先へなら「祝 御開店 株式会社○○」。シンプルで、どの業種にも合います。

友人へなら「Congratulations! ○○の第一歩に」や「開店おめでとう これからの毎日が楽しい日になりますように」。少し崩したほうが気持ちが伝わります。

家族や身内なら「ずっと応援してます」「ここまでよく頑張ったね」。堅い言葉より、直接の言葉のほうがいい。

避けたい言葉もあります。火事を連想させる「燃える」、「閉じる」「傾く」「倒れる」といった商売の終わりを思わせる語。色としての赤は縁起物ですが、言葉として「赤字」を思わせる使い方は避けます。ここは昔ながらの忌み言葉なので、一応押さえておくと安心です。

相場と贈るタイミング

開店祝いの金額は、相手との関係で大きく変わります。一般的な目安をまとめました。

関係性相場の目安よく選ばれるもの
友人・知人5,000〜10,000円リース、観葉植物
親しい友人・同僚10,000〜20,000円リース、スタンド花
親族・家族20,000〜30,000円大きめのリース、胡蝶蘭
取引先・法人10,000〜30,000円胡蝶蘭、スタンド花、リース

お花でござるのリースは、サイズと花材の量で価格が変わります。ご予算をお伝えいただければ、その範囲で組みます。

搬入は前日が原則です。

これは意外と知られていないのですが、開店当日に届けると受け取る人がいません。オーナーもスタッフも接客に出ています。開店前日は内覧会や最終準備で店に人がいることが多く、いちばん確実に受け取ってもらえるタイミング。しかも前日に飾っておけば、開店日の朝から店が華やかになります。

日程が読めないときは、開店の3日前から前日までに届く手配にしておくと安全です。

周年祝いの花のギフトに選ぶリース

開店祝いを逃しても、周年というタイミングがあります。

1周年は、まだ経営が固まりきらない時期です。「よく1年続けたね」という労いに寄せた贈り物が響きます。明るい色、生命力のある花材。ガーベラやひまわりが合います。

5周年になると、店の色がはっきりしてきます。内装も更新され、常連もついている。ここは店のブランドカラーに合わせたリースが強い。カスタムオーダーがいちばん活きるタイミングです。

10周年は、格が変わります。落ち着いた深い色、上質な花材、少し大きめのサイズ。金や銀のアクセントを控えめに入れると、記念という性格が出ます。

周年祝いのリースは、前年に贈ったものと並べて掛けてもらえることがあります。5年分並んだ壁を見せていただいたときは、こちらが泣きそうになりました。

お手入れと耐用年数

アーティフィシャルフラワーのリースは、ほとんど手がかかりません。ただ、寿命を延ばすコツはあります。

ホコリは、月に一度、柔らかい筆かメイクブラシで花びらの間を払う。それだけです。ホコリが積もると色がくすんで見えます。汚れが強いときは、固く絞った布で葉の表面を軽く拭きます。

最大の敵は直射日光です。窓際で1日中日が当たる場所に置くと、1年ほどで色が抜け始めます。逆に、日の当たらない壁なら数年は色が保ちます。店舗の南向きショーウィンドウに掛けるのは避けてください。

置き場所も少しだけ気にしてください。厨房のコンロ近くは油煙を吸うので不向き。エアコンの吹き出し口の真下も、ホコリが集中的に当たります。

この3点を守れば、耐用年数は3〜5年。先ほど書いた埼玉のカフェのリースは、レジ横の直射日光が当たらない壁で3年以上もっています。お手入れの詳しい話はソラフラワーのお手入れ方法の記事にもまとめました。

よくある質問

開店祝いに造花を贈って、本当に失礼になりませんか。

花屋・生花を扱う店への贈り物、格式を重んじる大企業や伝統芸能関係を除けば、失礼にあたりません。飲食・美容・治療院・教室といった業種では、花粉と手間がない分むしろ歓迎されます。心配なら「水やり不要なので、忙しい時期でも大丈夫です」と一言添えてください。

リースの相場はどのくらいですか。

友人へなら5,000〜10,000円、親族や取引先なら10,000〜30,000円が一般的です。お花でござるではご予算に応じてサイズと花材を調整しています。

いつ届けるのがいいですか。

開店前日が最適です。当日は受け取る人が接客に出ていて渡せません。前日なら準備で店に人がいて、開店の朝から飾られた状態でスタートできます。

壁に穴を開けられない店舗でも飾れますか。

飾れます。粘着フックや石膏ボード用の細いピンで留まる重さです。イーゼルに立てかけて置き型にする方法もあります。

サイズはどのくらいを選べばいいですか。

ドア掛けなら直径25〜35センチ、店内の壁で存在感を出すなら40センチ前後が目安です。掛ける場所の幅を測っておいていただくと、ご提案が正確になります。

店名やロゴの色を入れられますか。

できます。ロゴ画像をお送りいただければ、そこから1〜2色を拾って花材を組みます。木製プレートに店名やメッセージを入れることも可能です。制作期間は2〜3週間ほど見てください。

開店祝いに何を贈るかは、その店をどう見ているかの表明でもあります。3日で下げられるものを贈るか、3年後もレジ横に掛かっているものを贈るか。

お花でござるは、後者を作っています。店名の色で、掛ける壁の幅に合わせて、ひとつずつ。開店の日が決まっている方は、3週間前を目安にご相談ください。

新しい門出に贈るリースについては、新築祝い・引っ越し祝いのリース結婚祝いのリースの記事もあわせてどうぞ。造花のマナーについてもっと知りたい方は、仏壇に造花はマナー違反?で別の角度から書いています。