ソラフラワーはタイの湿地から届く。手仕事でひらく花の産地と作り手の話

マルシェのブースで、ソラフラワーのリースを手に取ったお客さまから一番よく飛んでくる質問があります。

「これ、生花ですか?」

十中八九これです。次点が「ドライフラワーですよね?」。ソラフラワーは花びらの縁がわずかに反って、表面に細かい繊維の毛羽が立っている。だから遠目には乾かした生花に見えるんです。

お花でござるの答えはいつも同じ。

「ソラフラワーの産地はタイ。湿地に生えている植物の、茎の中身を薄く剥いて花のかたちに巻いたものなんですよ」

だいたいここで、みなさん一度手を止めます。そして必ずもう一度、さっきより慎重に花を持ち直す。植物の茎だと知ってから触ると、指先に伝わる感触の意味が変わるらしいんです。

ソラフラワーは、タイやインドの湿地に生えるソラ(sola/マメ科の一年生植物。学名 Aeschynomene aspera、和名ミズオジギソウ)の、茎の内側にある白いスポンジ質を薄く剥いて成形した天然素材の花。ソラフラワーの作られ方は染色も成形もすべて人の手。ソラフラワーがサステナブル素材、エシカル素材と呼ばれる理由も、この産地と手仕事にあります。素材そのものの詳しい特徴や、造花・ドライフラワーとの見た目の違いはソラフラワーとは?造花・ドライフラワーとの違いをリース専門店が徹底解説にまとめました。

この記事は、その先の話です。どこで、誰が、どうやって作っているのか。そして素材を仕入れる側であるお花でござるが、実際に何を測り、何を見て選んでいるのか。定規と量りを持ち出して調べた数字も、そのまま載せます。

目次

ソラフラワーの産地、タイの湿地とソラの植物

ソラフラワーの産地の地理と気候

ソラフラワーの原料になるソラは、タイ北部から中部にかけての湿地帯や水田のまわりに自生しています。バンコクから北へ、チェンマイやスコータイのあたり。雨季に水がたっぷり溜まる低湿地が、この植物にとって一番居心地のいい場所です。

タイは5月から10月が雨季。この時期に水を吸って一気に背丈を伸ばし、乾季に入る11月ごろから収穫が始まります。硬い樹木ではなく、一年で2〜3メートルほどまで伸びる、太い茎を持つマメ科の草。だから収穫といっても、林業のような大がかりな作業ではありません。鎌で根元を刈り取って束にする。田んぼ仕事の延長にある作業です。

インドやバングラデシュにも同じ植物は生えていて、そちらでは「ショラ」と呼ばれる伝統工芸の材料になっています。ベンガル地方の花嫁がかぶる白い冠は、この素材で作られたもの。ただ、リースやアレンジ用の花材として日本に入ってくるものは、そのほとんどがタイ産です。

水田の緑肥から輸出素材へ

面白いのは、ソラがもともと花材として育てられていたわけではないところ。

タイでは昔から、この植物を水田の緑肥に使っていました。マメ科なので根に根粒菌がついて土に窒素を残す。育ちも早い。だから田んぼの脇に植えておいて、伸びたら土に鋤き込む。農家にとっては肥料であり、家畜の飼料でもあり、若い葉や花は食用にもなる。生活のすぐそばにある草、という位置づけだったわけです。

その茎を割ってみたら、中が真っ白で軽くて、紙のように薄く剥ける。そこから細工物が生まれ、やがて欧米や日本への輸出品になりました。ソラフラワーがフラワーアレンジメントの素材として広まったのは、日本ではここ二十年ほどの話です。

ソラフラワーがサステナブル素材、エシカル素材と言われる理由

海外の花材カタログでは、ソラフラワーはたいてい「サステナブル」の棚に並んでいます。理由は三つあると、お花でござるは見ています。

一つめは育つ速さ。雨季の数か月で数メートル伸びて、その年のうちに収穫できる。何十年もかけて育てた木を伐る林業とは、資源の回り方がまるで違います。

二つめは出どころ。もともと田んぼの緑肥として植えられていた草で、土に鋤き込まれて終わるはずだったものに使い道がついた。栽培のために新しく森を拓く必要がありません。

三つめが作り手。お花でござるが取引しているタイの工房も、家族と近所の女性たちで回している小さな規模です。大きな工場ではありません。乾季になると各家庭で花を巻き、まとまった数を輸出業者に納める。田植えと収穫の合間、家にいる時間が現金収入になる。エシカルな素材と呼ばれるのは、この稼ぎ方の部分が大きいと思っています。

ただ、「サステナブル」の一語で全部を良いことにするつもりはありません。船便で日本まで運んでいる以上、輸送の負荷はかかっています。それでも、素材が生まれてから手元に届くまでの道筋を説明できることは、お花でござるが扱ううえで大事にしている点です。

ソラフラワーの作られ方。カツラ剥きという手仕事

大根のかつら剥きと同じ原理

収穫したソラの茎は、外側の緑の皮をむくと中から白い芯が出てきます。この芯が発泡スチロールに近い、けれどもっと繊細なスポンジ質。乾かしてから、いよいよ剥く工程に入ります。

やり方は、日本料理の大根のかつら剥きとほぼ同じです。芯を左手で回しながら、右手の刃を当てて薄く長く帯状に剥いていく。厚みは0.3〜1ミリほど。作りたい花の種類によって、薄く剥くか厚めに残すかを変えます。

この帯を、花びらの形に切って一枚ずつ重ねたり、帯のまま渦巻き状に巻き上げたりして花にしていく。バラのように見えるものは、後者の巻き上げが多いですね。中心をきつく、外側にいくほどゆるく巻いて、根元を糸か接着で留める。乾かしてから染色液に浸けて、また干す。

工程を並べるとこうなります。

工程作業内容場所・時期
1. 収穫湿地のソラを根元から刈り取る乾季(11月〜)
2. 皮むき外皮を落として白い芯を取り出す収穫地の近く
3. 乾燥天日で数日〜1週間干す屋外・乾季の乾いた風
4. カツラ剥き芯を回しながら帯状に薄く剥く工房・手作業
5. 成形巻く・重ねる・貼るで花のかたちに工房・手作業
6. 染色染色液に浸ける/刷毛で塗る工房
7. 再乾燥色を定着させて干す屋外または室内
8. 検品・梱包大きさ別に選別して箱詰め工房
9. 輸出・輸入船便で日本へ通年

九つの工程のうち、機械が関わるのは最後の輸送だけ。あとは全部、人の手です。

なぜ機械化されないのか

一度、輸入業者さんに聞いたことがあります。これだけ工程が多いなら、どこか機械にできないんですかと。

答えは即答でした。芯が一本ずつ違うから、と。

ソラの芯は太さも密度も一本ごとに違います。育った場所の水の量、日当たり、刈り取った時期。少しずつ条件が違うから、同じ力で刃を当てても、ある芯はきれいに剥け、ある芯は途中で裂ける。剥く人は指先で硬さを感じ取りながら、刃の角度と回す速さを常に調整している。大根のかつら剥きを機械化しようとすると、大根の水分量ごとに設定を変えなければならない、あれと同じ話です。

しかも芯の中心近くまで剥き進むと、密度が変わって急に脆くなる。そこで手を止めるか、もう一巻き粘るか。この判断が歩留まりを決めます。

だからソラフラワーの価格は、素材代ではなく手間で決まります。この話は後の項でもう一度。

お花でござるが測ったソラフラワー

ここからがこの記事の本題です。ソラフラワーの紹介記事はいくつもありますが、実際に何センチで何グラムなのかを書いたものを、お花でござるは見たことがありません。仕入れた素材が手元にあるので、測りました。

実物の花径・重さ・厚みの実測値

キッチンスケール(0.1グラム単位)と定規、それとノギスを使って、同じロットのソラフラワーを測った結果です。

項目測定値
花径(一番広いところ)約5.8センチ
花の高さ(中心の盛り上がり)約3.2センチ
重さ3.1グラム
花びら1枚の厚み約0.5ミリ
巻いてある枚数(目視で数えた層)外周から18層前後

一番おどろくのは重さです。3.1グラム。500円玉が7グラムなので、その半分以下。同じくらいの大きさのアーティフィシャルフラワーのバラを同じ量りに載せたら8.6グラムでした。二倍以上あります。

この軽さが、リースを作るうえでは大きな意味を持ちます。直径25センチのリースにソラフラワーを15輪ほど使っても、花材の重さは50グラム前後。土台とグリーンを足しても、全体で300グラムに届きません。玄関ドアに掛けたときにフックへかかる負担が小さいので、賃貸のドアでも扱いやすい。掛け方そのものは玄関ドアにリースを飾る方法に詳しく書いています。

同一ロット5輪の個体差を並べた比較

次に、同じ袋から取り出した5輪を、一つずつ測りました。同じ商品名・同じロットです。

花径重さ見た目の特徴
1輪目5.8センチ3.1グラム標準。巻きが均一
2輪目6.3センチ3.4グラム外周がゆるめで大きく開いている
3輪目5.2センチ2.8グラム巻きがきつく、こぶりで密
4輪目6.0センチ3.0グラム花びらの縁に薄い裂けが1か所
5輪目5.5センチ3.3グラム中心の色がやや濃く出ている

花径で1.1センチ、重さで0.6グラムの幅。率にすると花径で約20パーセントの差です。工業製品の感覚だとこれは不良ですが、ソラフラワーではこれが普通。むしろ5輪すべてがぴったり同じだったら、そのほうが不自然です。

ここを理解しているかどうかで、仕上がりが変わります。お花でござるはリースを組むとき、まず全部の花を並べて大きい順に仕分けます。大きい輪はリースの下三分の一、視線が集まるところへ。小さい輪は上部や隙間の埋めに。そうすると、ばらつきがそのまま立体感になる。均一な花材でリースを作ると平板に見えるのは、ここに理由があります。

「造花なのに一個ずつ顔が違うんですね」

マルシェでリースを覗き込んだお客さまに言われた一言が、けっこう嬉しかったです。

断面から見えるスポンジ質

思い切って一輪をカッターで割ってみました。もったいない気もしましたが、これを見ないと素材の説明ができない。

断面に出てくるのは、細かい気泡がぎっしり詰まった層です。発泡スチロールに似ていますが、気泡の壁がもっと不規則で、繊維の走る向きがうっすら見える。剥いたときの帯が、渦巻き状に何重にも重なっているのが真横から確認できます。中心へ行くほど層の間隔が詰まっていて、外周に近いほどふわりと空気を含んでいる。

指で押すとわずかに沈み、離すとゆっくり戻ります。この気泡のおかげで軽く、同時に湿気を吸いやすい。長所と短所が同じ構造から生まれているわけです。湿気への対処はソラフラワーのお手入れ方法と長持ちさせるコツにまとめました。

※この項の測定はお花でござるが実際に仕入れた素材によるものです。産地・ロット・製造工房によって数値は変わります。

素材を仕入れるときにお花でござるが見ている点

色移り・毛羽立ち・接着の効き

ソラフラワーを仕入れるとき、お花でござるが箱を開けて最初にやることは、白い紙の上で花を軽くこすることです。

染料が浮いている個体は、これで紙に色が付きます。濃い赤や紺は特に出やすい。色が移る素材は、リースの中で隣り合うグリーンや白い花を汚す危険があるので、湿気の多い場所に飾る商品には使いません。

次に見るのが毛羽立ち。ソラフラワーの表面には細かい繊維が立っていて、これが柔らかい光の見え方を作っています。ただ、乾燥や擦れで毛羽が過剰に立つと、白っぽく粉を吹いたように見える。仕入れた箱の中でも、上のほうと底のほうで状態が違うことがあります。

三つめが接着の効き。ソラは多孔質なので、接着剤を吸い込みます。グルーを一点置いただけでは中に染み込んで表面に残らず、乾いてから軽く引っぱるとぽろりと外れる。だから花を留めるときは、少量を二度に分けて置いて、一度目が吸われるのを待ってから二度目で固定します。この手順を知らずに作ったリースは、夏を越すころに花が落ちます。お花でござるも最初の年に一度落としました。あれは反省しました。

産地ロットで表情が変わる前提での選別

同じ品番でも、入荷の時期が違えば表情が変わります。乾季の初めに作られたものと、終わりごろのものでは、乾き具合が違う。染色の濃度も、その日の染料の減り方で微妙に動きます。

だからお花でござるは、一つのリースに使う花はできるだけ同じ入荷分から選びます。違うロットを混ぜると、白のはずが片方だけわずかに黄みを帯びていて、単体では気づかないのに並べた瞬間にわかる。この差は写真では出ず、実物を目の前で見た人だけが気づきます。マルシェで手渡すときに一番怖いのがそこです。

ロット差があること自体は困りません。前提として組み立てればいいだけ。困るのは、ないつもりで作ることです。

ソラフラワー・アーティフィシャルフラワー・プリザーブドフラワーの作られ方

見た目や特性の違いはソラフラワーとは?造花・ドライフラワーとの違いにまとめてあるので、ここでは「何から、どうやって作られるか」だけを並べます。

ソラフラワーアーティフィシャルフラワープリザーブドフラワー
原料ソラの茎の芯(マメ科の天然植物)ポリエステル・ポリウレタン等の化学繊維生花そのもの
作られ方茎を剥いて手で巻く・染める型で成形し工場で組み立てる生花を脱色し保存液で置換して染色
主な産地タイ、一部インド中国、ベトナムコロンビア、エクアドル、日本
花の姿実在の花を模した創作形が多い実物の花を忠実に再現元の花そのまま
個体差大きい(手仕事・天然原料)ほぼない(型で成形)中くらい(元の花の個体差)
重さの目安とても軽い軽い軽い〜中
湿気への強さ弱い強い弱い
向く使い方屋内リース、ナチュラルな質感を出したいとき玄関ドアなど屋外、長期の飾りっぱなし室内の特別な一輪、ケース入りギフト

原料の出どころがそれぞれまったく違います。水辺の草の茎、石油由来の繊維、生きていた花。この三つを同じリースに混ぜるとき、お花でござるは湿気への強さを基準に置き場所を決めています。

屋外で使ってみた経過

観察した期間・場所・条件と結果

「ソラフラワーは屋外に向かない」とよく言われます。ただ、どのくらいで、どう変わるのかを書いたものが見当たらなかったので、自分で試しました。

条件は次のとおりです。北関東の住宅、北向きの玄関ポーチ、直射日光は当たらず、雨も直接はかからない軒下。ソラフラワー5輪を組み込んだ小さなリースを掛けて、6月上旬から10月中旬まで、およそ4か月半。梅雨をまたぐ期間です。

結果を時系列で書きます。

一か月目(6月)は変化なし。触った感触も色も、掛けた日と同じでした。

二か月目(7月)、梅雨の長雨のあとで花全体がわずかに柔らかくなりました。指で押したときの戻りが鈍い。ただし見た目は変わらず、来客が気づく水準ではありません。

三か月目(8月)で、白い花のうち2輪に薄い黄ばみが出ました。上向きに付けた花の中心部。おそらく湿気を含んだまま高温にさらされた影響です。同時に、下向きに付けた花はほとんど変化なし。

四か月半(10月中旬)で取り外し。5輪のうち黄ばみが目立つのが2輪、うっすら変わったのが1輪、ほぼそのままが2輪。花が落ちたり崩れたりは一つもありませんでした。全体の重さは掛けた日から0.4グラム増えていて、水分を抱えたままだったことがわかります。

向く飾り方の結論

四か月半でこれなら、屋外が絶対にだめとは言いません。ただ、白は黄ばみが目立つので屋外は避ける。上を向く角度で付けた花は水が溜まるので、外に出すなら花の顔をやや下向きに伏せる。この二つで結果はかなり変わります。

そしてお花でござるの結論としては、ソラフラワーは玄関の内側です。ドアの内側、下駄箱の上、廊下の壁。湿気が籠もらない室内なら、この素材の柔らかさが一番きれいに出ます。

屋外の玄関ドアに掛けるリースが欲しい方には、アーティフィシャルフラワーを主役にした構成をおすすめしています。組み合わせ方はソラフラワーリースの魅力と選び方玄関ドアにリースを飾る方法をあわせて読んでみてください。

手仕事の花に、どこまで値段がつくのか

ソラフラワーの素材価格は、原料からは説明できません。原料は水田脇の草です。値段のほとんどが、剥いて巻いて染めて干す人の時間です。

同じ大きさのソラフラワー一輪と、工場で成形されたアーティフィシャルフラワー一輪を比べると、仕入れ値はソラのほうが高いことが多い。理由は単純で、片方は型から同じものが何千個も出てきて、片方は一人が一輪ずつ巻いているからです。花の大きさが大きくなるほど、剥く帯が長くなり、失敗の確率も上がるので、価格の差は開きます。

そこにグリーンや土台の材料費、デザインを考える時間、組み立ての手間が乗って、完成したリースの価格になります。ソラフラワーを主役に据えたリースは、同じ大きさのアーティフィシャルフラワーのリースより素材原価が上がる。ただ、リース全体の価格は使う花の数や大きさ、デザインの密度で大きく動くので、お花でござるでは予算に応じてご提案しています。

「高いですね」と言われたら、お花でござるは工程表の話をします。九つの工程のうち八つが人の手だと知ると、たいていの方が納得してくださる。値段の内訳は、そのまま誰かの手の時間です。

ソラフラワーが写す花と花言葉

ソラフラワーは実在の花を厳密に再現するものではなく、職人が花のかたちを解釈して巻いた創作の花が多くを占めます。それでも「これはバラ」「これはダリア」と名前が付いていて、贈るときにはその花の花言葉を添えられます。

ソラフラワーの形写している花花言葉贈る場面
渦巻き状に巻いた大輪バラ愛情、尊敬結婚祝い、長寿祝い
細い花びらを放射状に重ねた花ダリア華麗、感謝開店祝い、周年祝い
小さな丸い花が房状かすみ草幸福、清らかな心出産祝い、お礼
大きく開いた平たい花ハス清らかな心、神聖仏花、お供え
螺旋の細かい小輪ラナンキュラスとても魅力的、名誉誕生日、退職祝い
円錐形に立ち上がる花カラー華麗な美、清浄就任祝い、結婚祝い

タイの工房でハスをかたどった花が多く作られるのは、仏教国だからだと思っています。蓮は清らかさの象徴。日本ではお供えの花としてもなじみがあります。

贈り物としてのソラフラワーの選び方はソラフラワーはギフトに最適?結婚祝い・長寿祝いに贈る枯れない花リースに、お供え向けの考え方は枯れないお供え花の選び方にまとめています。

よくある質問

天然素材なのに、どうして枯れないのですか?

枯れる、という現象は花の細胞に水分と養分が残っているから起こります。ソラフラワーの原料は、茎の中の芯を完全に乾かしたもの。すでに水分が抜けきった状態から作るので、しおれる余地がありません。生花を乾かしたドライフラワーとは出発点が違って、こちらは最初から乾いた繊維の塊に近い状態です。ただし湿気を吸うと柔らかくなり、そのまま放置すればカビます。枯れないことと、何もしなくていいことは別です。

植物を刈って作るのは、環境に負担がかかりませんか?

ソラは成長が非常に早く、雨季の数か月で数メートル伸びる一年生のマメ科植物です。タイでは水田の緑肥として植えられてきたもので、刈って使うことが前提の作物に近い扱い。硬い樹木を何十年もかけて育てて伐る林業とは事情が違います。サステナブルな花材として海外で扱われているのは、この育ちの速さと、緑肥という出どころがあるからです。加えて、それまで土に鋤き込んでいたものに価値が付いて、地方の女性の現金収入になっている面もある。エシカルな素材と言われるゆえんで、ここはお花でござるがこの素材を扱い続けている理由の一つです。

買った花の大きさや色がバラバラでした。ハズレを引いたのでしょうか?

いいえ、それが正常です。この記事の実測でも、同じ袋の5輪で花径に1.1センチの差がありました。手作業で一輪ずつ巻いているので、揃うほうが難しい。飾るときは大きい花を目線の下に、小さい花を上や隙間に置くと、ばらつきがそのまま奥行きになります。均一を求める場合はアーティフィシャルフラワーが向いています。

香りを付けることはできますか?

できます。ソラフラワーが多孔質でよく液体を吸う性質を利用して、アロマオイルを数滴たらして香りを楽しむ使い方が海外では一般的です。ディフューザー用の花として売られているものもあります。ただし、リース商品にオイルを垂らすと染みになり、色が抜けることがあります。香りを楽しみたい場合は、リースとは別に一輪を器に入れて使う方法をおすすめします。

お手入れは何をすればいいですか?

基本は湿気を避けることと、ほこりを溜めないこと。柔らかい筆や化粧用ブラシで表面を撫でるように払い、雨の日が続いたら風の通る場所へ一時的に移す。それだけで持ちがずいぶん変わります。詳しい手順と、2年以上きれいに保つコツはソラフラワーのお手入れ方法と長持ちさせるコツにまとめました。

お花でござるから

ソラフラワーを最初に仕入れたとき、正直なところ「軽い白い花」くらいの認識でした。産地も工程も知らないまま使っていた。

調べて、測って、割ってみて、屋外に四か月半さらしてみて、見え方が変わりました。一輪ずつ大きさが違うのは、タイの工房で誰かが一輪ずつ巻いたからです。中心の巻きがきつい花は、その人がその日、そう巻いた。そう思うと、リースのどこに置くかを決めるときの気持ちが少し変わります。

マルシェで「これ、生花ですか?」と聞かれたら、これからも同じ話をします。タイの水田の脇に生えている草で、茎の中を薄く剥いて、手で巻いて作るんですよと。だいたいみなさん、二度見してくださいます。

お花でござるのリースは、ソラフラワーを主役にしたものも、アーティフィシャルフラワーと組み合わせたものも作っています。飾る場所の湿気の具合を教えていただければ、それに合う素材でご提案します。商品一覧やカスタムオーダーから、お気軽にご相談ください。