老人ホーム・介護施設にいる家族へ花を贈るとき。施設に迷惑をかけない枯れない花の選び方と確認のしかた

「生花はやめましょう、って書いてあるサイトばかりで、調べるほど不安になってしまって」

老人ホームへの花のプレゼントを考えていらっしゃる方から、お花でござるにこんなメールをいただきました。お母さまが有料老人ホームに入られて3か月。施設入居のお祝いの花も、面会の手土産の花も渡せないまま来てしまった、と。玄関に「生花の持ち込みはご相談ください」と貼り紙があったのを思い出したそうです。

その方に代わって、お花でござるが実際に施設へ電話をかけてみたことがあります。生活相談員さんの返事はこうでした。「生花がダメというより、水替えを職員がやることになるのが正直むずかしくて。造花なら大歓迎ですよ。壁は画鋲が使えないので、粘着フックをこちらでご用意します」。

断られているのは花そのものではありませんでした。この記事では、介護施設への花の持ち込みで何がひっかかるのかを、厚生労働省・日本感染症学会・東京消防庁の資料をたどりながら整理します。そのうえで、施設へ確認するときの電話文例と、居室に置ける枯れない花の選び方までまとめました。

目次

介護施設で花の持ち込みに「生花は控えて」と言われる理由

施設が困るのは花そのものではなく、水替えと花がらの片づけが職員の仕事に加わることです。ここを分けて考えると、話はずいぶんシンプルになります。

厚生労働省の令和6(2024)年 介護サービス施設・事業所調査の概況によると、介護老人福祉施設は1施設あたりの定員が70.4人、在所者数は66.5人です。利用率は90%を超えています。66.5人が暮らす建物で、居室の花瓶が10個あれば、水替えも10回。しかも一度きりではなく、ずっと続きます。

水替えの手順も、思っているより軽くありません。一般社団法人日本感染症学会の施設内感染対策相談窓口 Q35は、医療現場で花を扱うときの推奨事項として、患者に直接接しないスタッフが扱うこと、手袋を着けること、取り扱い後に手を洗うこと、花瓶の水は隔日で交換し患者の身辺から離れた流し台に捨てること、使用後の花瓶を洗浄することを挙げています。

これは家族の作業ではなく、職員の手順です。週に2回、居室をまわって花瓶を運び、専用の流しで捨てて洗う。その時間が現場のどこから出てくるのか。「ご相談ください」という貼り紙の裏側にあるのは、たいていこの計算です。

お花でござるがお話を聞いた相談員さんも、「ご家族が毎回来て替えてくださるなら生花も構わないんです」とおっしゃっていました。つまり可否を分けているのは、衛生そのものより手間の配分ということになります。

花瓶の水と緑膿菌の話の正確なところ

免疫不全がなければ、花瓶の水や鉢植えの植物は感染源になりません。日本感染症学会の相談窓口 Q35は、移植患者や重症エイズ患者の病棟以外では、生花や鉢植えの制限は不要としています。

一方で、同じ資料は花瓶の水そのものについても触れています。交換頻度が低い水では細菌数が増え、分離される菌の主体はグラム陰性菌で、最も多かったのは緑膿菌でした。水を替えずに置いておけば菌は増える、という当たり前の話です。

この2つを並べると、輪郭がはっきりします。菌が増えるのは事実。でも、免疫の状態が保たれている人にとって、それが病気につながるわけではない。だから同学会も、ハイリスクな病棟に限って避けるよう書いています。

老人ホームを感染症の危険地帯のように語る文章をときどき見かけますが、根拠として正確ではありません。判断の軸は衛生ではなく手間です。「菌が怖いから造花に」ではなく、「職員さんに水替えを頼まずに済むから造花に」。理由を正しく持っておくと、施設に相談するときの言葉も変わります。

なお、ご本人が抗がん剤治療中である、白血球の数値を医師から注意されている、といった事情があるときは話が別です。その場合は花より先に、担当の看護師さんへ確認してください。

ドライフラワーが安全という誤解

ドライフラワーは水がいらないぶん安全、とは言い切れません。日本感染症学会の相談窓口 Q35は、生花もドライフラワーも真菌(アスペルギルス)の貯蔵庫となりうるとし、好中球減少などハイリスク患者がいる区域では、花と花瓶の水を避けるべきとしています。ドライフラワーだけが例外扱いされているわけではありません。

「生花がダメならドライフラワーを」と勧める記事はたくさんありますが、この一文に触れているものは、お花でござるが調べたかぎりほとんどありませんでした。

それとは別に、居室に置くという点でもドライには弱さがあります。乾いた花びらやガクは、時間が経つと必ず落ちる。お花でござるのマルシェでも、ドライのスワッグを手に取ったお客さまの足元に、細かな破片がぱらぱら落ちることがあります。自宅なら箒で済みますが、居室の床に落ちたものを毎回拾うのは職員さんです。

香りを楽しむドライやポプリも、次にお話しする香りの配慮とぶつかることがあります。老人ホームの居室という条件では、ドライは第一候補になりにくいというのがお花でござるの実感です。

高齢者施設の造花のプレゼントと防炎の決まり

老人ホームは消防法上の防炎防火対象物にあたります。東京消防庁の解説によると、養護老人ホーム、特別養護老人ホーム、有料老人ホーム、介護老人保健施設、病院などがこれにあたり、消防法施行令第4条の3・消防法施行規則第4条の3にもとづいて、カーテンなどの防炎対象物品には防炎物品を使う義務があります。

では造花はどうか。防炎対象物品の品目に挙がっているのは、カーテン、布製ブラインド、暗幕、じゅうたん等、のれん、展示用の合板などです。造花や人工観葉植物はここに含まれていません。つまり法律で防炎品を義務づけられているわけではありません。

ただし話はここで終わりません。東京消防庁は装飾品についての推奨として、不特定多数の人が利用する施設等では、装飾品を防炎製品または防炎性能を有する品物にすることを勧めています。防炎製品の品目にはふとん類、枕、防災頭巾、障子紙などが並びます。

義務ではないが推奨されている。この状態だからこそ、施設側に判断の余地が残ります。消防署の立入検査で指導を受けた施設ほど、装飾品に慎重になる。「うちは造花もお断りしています」という施設が実在するのは、たいていこの流れです。ルールが一律でない以上、確認する以外に答えを出す方法はありません。

施設への確認の台本

確認先は生活相談員かケアマネジャー、タイミングは面会予約の電話のついでが一番スムーズです。聞くことは6つ。3分で終わります。

介護施設の運営基準を定めた指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)を読んでも、入所者の私物や花・植物の持ち込みを規制する条文は見当たりません。国が一律に禁止しているのではなく、施設ごとの運営判断ということです。だから電話が要ります。

電話でそのまま使える文例

「お世話になっております。◯号室の◯◯の娘です。今度の日曜の面会のことでもうひとつだけ伺いたいのですが、母の部屋に小さな花を飾ってもいいでしょうか。水がいらない造花のリースで、直径20センチくらいのものを考えています」

ポイントは、素材とサイズを先に言ってしまうことです。「花を持っていってもいいですか」だけだと、相手は生花を思い浮かべて「一度ご相談を」と答えるしかない。水がいらないこと、大きさ、掛けたいのか置きたいのかを最初に渡すと、その場で「それなら大丈夫です」まで進みます。

確認項目チェックリスト(表①)

確認すること聞き方の例返事の見方
持ち込みの可否「居室に花を飾ってもよろしいですか」「素材によります」なら次の項目へ
素材の条件「水のいらない造花を考えています」生花不可でも造花可の施設は多い
壁に掛けてよいか「壁やドアに掛けても大丈夫ですか」不可なら棚置きタイプに切り替える
固定の方法「画鋲は使えますか。粘着フックはいかがですか」施設が用意してくれることもある
大きさの上限「直径20センチくらいで大丈夫でしょうか」数字で聞くと即答がもらえる
記名の要否「名前を書いておいたほうがいいですか」私物管理のルールは施設ごとに違う

壁に掛けてよいかは必ず聞いてください。理由は後述しますが、居室は床と棚が先に埋まっているため、掛けられるかどうかで選ぶ商品が変わります。

「ご相談ください」と言われたときの返し方

貼り紙のとおり「ご相談ください」と返ってきたら、そこで引かずに具体を出します。「水替えの必要がない造花で、直径20センチ、重さは200グラムくらいです。壁が難しければ棚に置けるタイプにします」。

お花でござるが施設へ確認したとき、相談員さんから返ってきた条件は3つでした。水を使わないこと、職員が持ち上げられる重さであること、床に落ちるものが出ないこと。逆に言えば、この3つを満たすと伝えた時点で話が終わります。

もうひとつ。厚生労働省老健局が令和5年1月31日付の事務連絡(高齢者施設等における面会の実施に係る留意点)で、家族等との面会機会の減少が入所者の心身の健康に影響することを踏まえ、面会の再開・推進を図ることが重要としています。面会も、そこへ花を持っていく相談も、遠慮すべきことではありません。

素材別の向き不向き

居室向きかどうかは、水やりの要否・落ちるものの有無・職員の作業が増えるかどうか・においの4点で決まります。お花でござるが扱ってきた実物の感覚を交えて並べました。

素材水やり落ちるもの職員の作業持ち帰りにおい
生花隔日で水替え花びら・花がら水替えと片づけが発生枯れたら処分花による
プリザーブドフラワー不要ほぼなしなしそのまま持ち帰り可無香
ドライフラワー不要花びら・ガクが落ちる落ちた分の掃除崩れやすい素材による
アーティフィシャルフラワー不要なし(作りによる)なしそのまま持ち帰り可無香
光触媒加工の造花不要なしなしそのまま持ち帰り可無香
鉢植え週に数回の水やり落ち葉・土水やりと土の始末移動が重い土のにおい
多肉植物少量だが必要葉が落ちる水やり倒れると土がこぼれるほぼなし

アーティフィシャルフラワーとは、ポリエステルなどの布と樹脂で作られた造花のことです。お花でござるのリースは、花材を一本ずつワイヤーと接着でとめて作ります。水はいりません。

寿命については、断定できる公的な基準がありません。ですのでお花でござるの実物でお話しします。自宅の室内に飾っている見本のリースは、4年経った今も色が落ちていません。一方、玄関ドアの外に掛けたものは直射日光で2年目に赤が薄くなりました。居室は屋内で日差しも限られるので、条件としては良いほうです。

プリザーブドフラワーは生花を加工したものです。手ざわりが生花そのもので美しいのですが、湿気に弱く、年単位で少しずつ色が変わっていきます。居室に加湿器が入る季節があることを考えると、長く飾る前提ならアーティフィシャルのほうが安心です。

素材の名前の違いをもう少し詳しく知りたい方はアーティフィシャルフラワーとリースの用語集を、天然素材の選択肢が気になる方はソラフラワーとは?造花・ドライフラワーとの違いをご覧ください。

口に入れてはいけない花

居室に飾る花では、誤って口に入る可能性を先に潰しておきます。軽度でも認知症のある方のお部屋なら、なおさらです。

スイセン類は葉も鱗茎も食用にできません。厚生労働省の自然毒のリスクプロファイル:高等植物:スイセン類は、有毒成分としてリコリンやタゼチンなどのアルカロイドとシュウ酸カルシウムを挙げています。葉がニラに似ているため、家庭での誤食事故が繰り返し起きています。

アジサイも葉を食べると嘔吐や下痢などが報告されています。厚生労働省の自然毒のリスクプロファイル:高等植物:アジサイによると、2008年6月に福岡で、花を食べた2名の食中毒患者が報告されました。

スズランのように毒性が語られる花もありますが、公的資料で裏の取れた記述に限ると、居室で気をつけたいのは上の2つです。可憐で贈り物に選ばれやすい花ほど、口に入る可能性のある場所では生花を避けるのが無難、という考え方でよいと思います。

造花なら食べられない、という話でもありません。お花でござるが居室向けのリースを作るときに気をつけているのは、小さなパーツが外れないようにすることです。実ものやビーズのような小さな花材は、接着剤だけでとめると衝撃で外れます。ですのでワイヤーの芯を花材の内側まで通し、接着はその補強として使う。触っても、落としても、粒が離れない作りにしておく。ご相談のときに「お母さまが触られますか」と伺うのは、この設計を変えるためです。

香りへの配慮

居室に持ち込む花は無香が基本です。

厚生労働省は、柔軟剤などの香りで頭痛や吐き気がするという相談を踏まえ、香りへの配慮を呼びかける啓発ポスターを作成し、医療機関・高齢者施設・保育所などへ情報提供しています(令和5年7月19日事務連絡、厚生労働省4課とこども家庭庁2室の連名/厚生労働省の通知)。高齢者施設が名指しで挙がっている点は知っておいてよいところです。

居室は狭く、換気の自由もききません。ご本人が平気でも、隣室の方や職員さんが香りに弱いことがあります。お花でござるが施設向けのご注文をいただくときは、香りづけを一切しません。

香りのある花を楽しみたいなら、ご自宅でどうぞ。ソラフラワーに好きな香りをまとわせる方法でやり方をまとめています。施設には無香を、自宅には香りを。この切り分けが一番きれいに収まります。

10.65平方メートルの居室に花を置く設計

居室の広さには下限が決まっています。指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準(平成11年厚生省令第39号)第3条は、居室の床面積を入所者1人あたり10.65平方メートル以上、定員は原則1人、ブザーまたはこれに代わる設備を設けることと定めています。

10.65平方メートルは、およそ6畳強。そこにベッド、床頭台、タンス、車椅子や歩行器の通り道が入ります。床は先約で埋まっている。棚の上もティッシュや眼鏡や薬で埋まっている。ここに花瓶を置く場所を作るのは、実はけっこうな無理をしています。

掛ければ面積を使いません。これが居室にリースをおすすめしている一番の理由です。

置き場所別の比較(表③)

置き場所向いているもの注意点
居室のドア(内側)直径18〜25cmのリース開閉のたびに揺れるので厚みは控えめに
ベッドから見える壁軽量のリース画鋲不可の施設が多い。粘着フックを相談
床頭台・棚の上直径15cm前後の置き型底が広く低重心のものを選ぶ
窓辺退色に強い造花直射日光が当たる窓は色が抜けやすい
テレビ台の横小さなアレンジ掃除の邪魔にならない位置か確認

お花でござるのリースの実寸でお話しすると、直径20センチのアーティフィシャルフラワーのリースで、厚みは5〜7センチ、重さは150〜250グラムほど。ペットボトル1本の半分もありません。粘着フック1個で十分に支えられますし、万一落ちても足元に危険はない重さです。

直径25センチを超えると壁での存在感は出ますが、居室のドアだと開閉で当たることがあります。面会のときに扉を大きく開ける動作を思い出して選んでください。

画鋲もフックも使えないときの掛け方

壁に何も付けられない施設もあります。その場合は、ドア上部に引っ掛けるドアハンガー、カーテンレールから吊るす方法、家具の側面に貼るタイプのフックが候補です。取り付け方法は玄関ドアにリースを飾る方法に詳しくまとめました。賃貸向けに書いた記事ですが、傷をつけない考え方はそのまま居室にも使えます。

ひとつだけ。取り付けは職員さんに任せず、面会のときにご自身で済ませてください。「取り付けもお願いします」になると、それも職員の作業です。

色と花言葉

居室の花は、壁との明度差がはっきりつく色が向いています。壁が白、床が薄い木目という部屋が多いので、淡い色だけでまとめると沈みます。白い壁を背景にするなら、濃いピンクや赤系がベッドから見て見分けやすい色です。

お花でござるのマルシェでも、白いクロスの上に置いた黄色のリースは遠目にぼやけ、濃いピンクのリースだけが通路から声をかけられる、ということが何度もありました。白地に淡い色を重ねると輪郭が消えます。壁の色を先に伺うようにしているのは、この差が大きいからです。

花言葉は地域や資料によって解釈が分かれるものが多いため、一般に言われている意味として挙げます。

花材花言葉(一般に)居室に向く理由
バラ(濃いピンク)「感謝」「しとやか」白い壁との明度差が大きく、ベッドから見分けやすい
カーネーション(濃いピンク)「感謝」「温かい心」母への贈り物の定番。壁が白い部屋でも沈まない
ダリア(赤系)「感謝」「気品」一輪で目を引くので小さなリースでも映える
ガーベラ(オレンジ)「究極の美」「親しみやすさ」淡い色より濃く、白い壁でも輪郭が残る
かすみ草「感謝」「幸福」隙間を埋めて全体を柔らかくする
リシアンサス「優美」「希望」上品にまとめたいときに。濃い色と組むと締まる

壁がベージュや木目の部屋なら、白やクリーム色の花も映えます。壁が白なら濃い色を、壁に色があるなら明るい色を。この順で考えると外しません。米寿のお祝いも兼ねる方には米寿祝いに黄色い花のリースをもあわせてどうぞ。長寿祝いのしきたりとして黄色を使う場合は、掛ける壁の色を確認してから濃さを決めると失敗しません。長寿祝い全般の色分けは長寿祝いの花・プレゼント完全まとめに整理しています。

施設への入居祝いの花と、面会の手土産の花

入居祝いの花は、住まいが変わった直後だからこそ小さく軽いものが向いています。引っ越しの荷物がまだ片づいていない部屋に大きなアレンジが届くと、置き場所そのものが困りごとになります。壁一枚で収まるリースは、この時期に一番じゃまになりません。

面会の手土産としての花は、記念日を待たなくて構いません。お花でござるにご相談くださる方の多くは、何かの節目ではなく、面会のついでに飾っています。「部屋が寂しいから」で十分な理由です。

農林水産省の花きの現状について(令和6年12月4日・花き振興法に係る基本方針に関する有識者検討委員会 資料2)によると、二人以上世帯の切り花の年間購入額は、29歳以下で令和元年から令和5年にかけて約4倍に増えました。花を贈る習慣は、若い世代でむしろ広がっています。お母さまの部屋に花を持っていくことは、特別なことではありません。

もうひとつ、贈り主が複数いる場合の話を。ごきょうだいや親戚から同時に花が届くと、6畳強の居室はすぐ飽和します。先に一言決めておくと、部屋が窮屈になりません。お花でござるでも「姉が生花を持ってくるので、うちは掛けるものにします」というご相談をよくいただきます。

予算・サイズ・納期の決め方

予算で変わるのは、リースの直径と花の数、そして花材のグレードです。小ぶりなリースなら花数を絞って主役の花をはっきり見せる作りに、大きめなら花と葉を重ねて厚みを出す作りになります。居室向けなら直径15〜20センチのあたりが選ばれることが多く、この帯は予算を抑えたい方にも合わせやすいところです。

納期は面会日から逆算してください。お手元に届いてから一度中身を確認し、フックの用意をする時間が要ります。既製のリースなら発送から数日で届きますが、カスタムオーダーは制作の時間が別に必要です。10日後の面会に間に合わせたいなら、遅くとも1週間前には注文を確定させたいところ。ご希望の日付をご相談時にお伝えいただければ、間に合うかどうかをその場でお返事します。

面会日が決まっているご注文では、日付を先に伺うようにしています。「間に合いませんでした」が一番申し訳ないので。

敬老の日と、贈るタイミング

敬老の日は9月の第3月曜日です。国民の祝日に関する法律(昭和23年法律第178号)第2条にもとづくもので、内閣府の祝日一覧で確認できます。2026年は9月21日です。

施設では敬老の日に行事を行うところが多く、その前後は職員さんが忙しくなります。持ち込みの相談は、行事の直前を避けて早めにしておくと話が通りやすくなります。

敬老の日にあわせて贈るなら敬老の日に花のリースをもご覧ください。行事の日に居室が飾られていると、写真を撮るときにも背景が変わります。

退居・転居のときに残るもの

枯れない花は、居室を出るときにそのまま持って行けます。

入居が長くなると、施設内での住み替え、病院への入院、看取りの場所の変更など、部屋が変わる場面が出てきます。生花はそのたびに置いていくことになりますが、リースは壁から外して持つだけ。ご自宅に戻られたときも、そのまま玄関に掛けられます。

お花でござるのお客さまで、お母さまが入居中に飾っていたリースを、その後ご自宅の玄関に掛けていらっしゃる方がいます。「母がいた部屋で毎日見ていたものなので」と。花が形を保っているから、時間もそこに残ります。

いつか手放すときの片づけ方はリースや造花の手放しどきと捨て方にまとめました。

よくある質問

老人ホームに生花を持ち込んではいけないのですか?

法律で禁止されてはいません。指定介護老人福祉施設の人員、設備及び運営に関する基準を確認した範囲でも、花や植物の持ち込みを規制する条文はなく、可否は施設ごとの運営判断です。生花を断る施設の多くは、水替えと花がらの片づけが職員の作業になることを理由にしています。

老人ホームに造花を持ち込んでも大丈夫ですか?

多くの施設で受け入れられています。水替えが不要で職員の作業が増えず、落ちるものも出ないためです。ただし装飾品の防炎化が東京消防庁から推奨されている関係で、造花も含めて装飾品を断る施設があります。持ち込む前に生活相談員へ確認してください。

花瓶の水は感染症の原因になりますか?

免疫不全がなければ感染源になりません。日本感染症学会の相談窓口 Q35は、移植患者や重症エイズ患者の病棟以外で生花を制限する必要はないとしています。ただし交換頻度が低い水では細菌数が増え、最も多く分離された菌は緑膿菌でした。

ドライフラワーなら老人ホームでも安全ですか?

ドライフラワーも日本感染症学会の同資料で真菌(アスペルギルス)の貯蔵庫となりうるとされ、ハイリスク患者のいる区域では避けるべき対象に含まれています。加えて花びらやガクが落ちるため、居室の床掃除が増えます。お花でござるは居室向けにはおすすめしていません。

認知症のある母の部屋に置いても危なくないですか?

小さなパーツが外れない作りであれば問題ありません。実ものやビーズを接着剤だけでとめた造花は、落とすと粒が外れます。お花でござるでは花材の内側までワイヤーの芯を通し、触られる前提で作ります。ご注文時に「ご本人が触られます」とお伝えください。

壁に画鋲が使えない施設ではどう飾りますか?

粘着フック、ドア上部に引っ掛けるドアハンガー、カーテンレールからの吊り下げが使えます。施設が粘着フックを用意してくれることもあるので、確認の電話で聞いてみてください。取り付け方法は玄関ドアにリースを飾る方法にまとめています。

白い壁の居室にはどんな色の花が見やすいですか?

濃いピンクや赤系のように、壁との明度差が大きい色が見分けやすいです。白い壁に淡い色を合わせると輪郭がぼやけます。壁がベージュや木目なら、白やクリーム色も映えます。お花でござるでは、ご注文のときに壁の色を伺ってから花材の濃さを決めています。

どのくらいの大きさが居室に合いますか?

直径15〜20センチが扱いやすい大きさです。お花でござるのリースは直径20センチで厚み5〜7センチ、重さ150〜250グラムほど。粘着フック1個で支えられ、ドアの開閉にも当たりません。棚に置く場合は底が広く低重心のものを選ぶと、杖をつく方が触れても倒れません。

面会に花を持っていくのは職員さんの迷惑になりませんか?

厚生労働省老健局は令和5年1月31日付の事務連絡(高齢者施設等における面会の実施に係る留意点)で、家族等との面会機会の減少が入所者の心身の健康に影響するとして、面会の再開・推進を図ることが重要としています。事前に素材とサイズを伝え、取り付けをご自身で済ませれば、職員の作業は増えません。

香りのある花は避けたほうがいいですか?

居室では無香を選んでください。厚生労働省は香りへの配慮を呼びかける啓発ポスターを高齢者施設などへ情報提供しています(令和5年7月19日事務連絡/厚生労働省)。居室は狭く換気の自由もきかないため、隣室の方や職員さんへの配慮が必要です。

殺風景な部屋に、色がひとつ

入居して3か月。荷物は片づき、生活は落ち着いて、それでも部屋は白いまま。面会のたびに「何か持ってきてあげたい」と思いながら、決められずにいる方は多いと思います。

花を断る施設は、花が嫌いなわけではありません。水替えの手が足りないだけ。だから水のいらない花を選び、大きさと素材を先に伝えて確認する。それだけで、たいていの壁はなくなります。

お花でござるのリースは、水やりも花瓶もいりません。壁に掛ければ床も棚も使いません。色は褪せないので、お母さまが部屋を移られるときも、ご自宅に戻られるときも、一緒に動きます。

どんな色がいいか、どのくらいの大きさにするか、施設に何と伝えればいいか。決まっていなくて構いません。お母さまの好きだった色と、面会の日付、それと壁の色だけ教えてください。あとは一緒に考えます。