玄関リースを一年じゅう楽しむ飾り替えの目安。季節ごとの色と花材の選び方をリース専門店が解説
「去年のクリスマスリース、気がついたら2月まで掛けたままだったんです。慌てて外したら、玄関が急にスカスカで……。玄関リースは一年中飾っていていいものなんでしょうか。それとも季節ごとにリースを飾り替えるほうがいいのか」
先日、マルシェのブースでこんなご相談をいただきました。40代の奥さま。築8年の戸建てで、玄関を通るご近所さんやママ友の目が気になるとおっしゃる。「あの家、まだクリスマスのままだ」と思われるのが怖かった、と。
お花でござるのお答えは、一年中飾ってよくて、そのうえで年に2回だけ替えれば足りる、です。春のリースを玄関に掛けるなら3月3日、夏のリースを玄関に出すなら6月上旬。2月の玄関にはミモザリースが効きます。この日付を先に決めるだけで、季節外れの玄関は起きません。
お花でござるが毎年見ている光景があります。12月になると玄関の飾りを買い足す方がぐっと増える。ところが2月と6月と9月の玄関だけ、なぜか毎年ぽっかり空くんです。クリスマスとお正月には気合いが入るのに、そのあとが続かない。梅雨と残暑の時期は「何を飾ればいいのか思いつかない」まま過ぎていく。
空くのは、センスの問題ではありません。掛け替える日を決めていないからです。
この記事では、行事と暦をアンカーにした12ヶ月の掛け替えカレンダー、土台ひとつで季節を回す差し替えの方法、年に何個持てば足りるかの現実解を、リース専門店の実務からまとめました。
目次
掛け替え日を先に決める段取り
掛け替えの日を先に決めておけば、季節外れの玄関は起きません。「なんとなく暖かくなったら春のものに替えよう」では、気づいたときには5月です。日付を決めて、カレンダーに入れる。それだけで解決します。
決め方のアンカーは2つあります。ひとつは年中行事の日付。もうひとつは暦の上の季節、つまり二十四節気です。
二十四節気は、太陽の位置で定義された季節の目印です。国立天文台の解説によると、二十四節気は太陽黄経で定義され、立春は春分から太陽が315度回転した瞬間を指します。そして立春から立夏までが暦の上の春という区分になります。感覚ではなく天文学で決まっている日付なので、「まだ早いかな」と迷う余地がありません。
さらに、翌年の二十四節気や雑節の日付は国立天文台が推算し、毎年2月最初の官報に「暦要項」として発表されます。国立天文台 暦計算室によると、暦要項では二十四節気・雑節(土用・八十八夜・入梅・半夏生など)・朔望の日付と時刻が公表されます。立春や春分の日付は年によって1日前後するため、正確な日を知りたいときはここを見るのが確実です。
お花でござるがお客さまにおすすめしているのは、行事アンカーを主軸にする方法です。節気は毎年数字が動くのに対し、ひなまつりの3月3日、端午の節句の5月5日、七夕の7月7日は動きません。スマホのカレンダーに「リース掛け替え」の繰り返し予定を入れてしまえば、忘れようがない。
ちなみに前述の奥さまには、こうお伝えしました。「12月13日と2月3日、この2つだけ登録してください」と。クリスマスを掛ける日と、外して春に切り替える日。この2点を押さえるだけで、あの家まだクリスマス問題は二度と起きません。
季節のリース飾り替え12ヶ月カレンダー
玄関リースの飾り替えは、年中行事の日付をそのまま掛け替え日にするのが一番迷いません。以下は、行事の日付を京都市「京都をつなぐ無形文化遺産」京の年中行事カレンダーを基準に整理し、お花でござるが色と花材の設計を添えた12ヶ月の一覧です。
| 月 | 行事アンカー | 掛け替え日の目安 | 色の主軸 | 花材の例 |
|---|---|---|---|---|
| 1月 | 人日の節句(七草)1月7日 | 1月7日 | 白・金・松葉色 | 松、南天、水引、和紙素材 |
| 2月 | 節分・追儺式 2月2〜4日 | 2月3日ごろ | 黄・白 | ミモザ、梅、雪柳 |
| 3月 | ひなまつり・桃の節句 3月3日 | 3月3日 | 桃色・薄緑 | 桃、菜の花、チューリップ |
| 4月 | 入学・新年度 | 4月上旬 | 桜色・若草色 | 桜、ラナンキュラス、若葉 |
| 5月 | 端午の節句 5月5日 | 5月5日 | 青・緑・白 | カラー、グリーン多め、アヤメ(中旬以降) |
| 6月 | 梅雨入り前後 | 6月上旬 | 青紫・白 | アジサイ、クチナシ、ユーカリ |
| 7月 | 七夕(笹の節句)7月7日/夏越の祓 6月30日 | 7月7日 | 白・水色・笹色 | 笹、ヒマワリ、リンドウ |
| 8月 | お盆(地域により8月中旬) | 8月中旬 | 白・淡緑 | 白菊、ハス、グリーン |
| 9月 | 重陽 9月9日 | 9月9日 | 黄・紫 | 菊、ススキ、ワレモコウ |
| 10月 | ハロウィン | 10月上旬 | 橙・茶・深緑 | ダリア、実物、木の実 |
| 11月 | 七五三 11月15日ごろ | 11月15日ごろ | 赤・えんじ・金茶 | 紅葉、ベリー、センニチコウ |
| 12月 | 正月事始め 12月13日/クリスマス | 12月13日 | 赤・緑・白 | ヒノキ、コットン、リンゴ |
数字を本文でも押さえておきます。人日の節句は1月7日、ひなまつりは3月3日、端午の節句は5月5日、七夕は7月7日、重陽は9月9日、正月事始めは12月13日。この6つは毎年動きません。カレンダーに入れるならこの6日が候補になります。
七夕については由来もひとつ添えておきます。京都市の解説によると、七夕は「笹の節句」とも呼ばれる五節句のひとつで、中国の織姫・彦星の伝説と日本古来の「棚機」、そして乞巧奠が結びついた行事です。笹の節句という別名を知っていると、7月のリースに笹や細い葉物を入れる理由が自分の中で腑に落ちます。
1月7日の人日についても補足します。京都市の解説によると、1月7日は「人日の節句」「七草の節句」といい、春の七草が入った七草粥を食べる風習があります。お正月飾りを片づける日として覚えておくと、松の色を引きずらずに済みます。
8月のお盆は日付を断定しません。京都市中京区役所の案内によると、お盆は風習・形式・時期が地域によって様々で、8月中旬に迎える年中行事とされています(京都・壬生寺の盂蘭盆万灯供養会は8月9日〜16日)。ご実家やお住まいの地域の慣習に合わせるのが安心です。
2月の玄関に効くミモザリース
2月の玄関で一番反応が返ってくるのはミモザリースです。節分で豆まきが終わったあと、玄関に掛けるものがなくなる時期。ここに黄色が入ると、まだ寒いのに玄関だけ先に春になります。
国営明石海峡公園の花情報によると、ミモザ(ギンヨウアカシア)の開花は2月下旬から3月下旬。生花のミモザが手に入る時期は短く、しかも乾くと粒が落ちます。アーティフィシャルフラワーのミモザリースなら2月3日から掛けられて、3月3日の桃色へ差し替えるまでのひと月をきれいに埋められます。
お花でござるがミモザリースを組むときは、黄色を丸く固めず、房を3ヶ所くらいに散らして間に白い雪柳を入れます。黄色を全周に詰めると玄関で重くなる。「思ったより上品ですね」と言われるのは、この抜きを作ったときです。
5月のショウブとアヤメの使い分け
端午の節句の5月5日に「ショウブそのもの」の花をリースへ入れるのは向きません。菖蒲湯に使うショウブはショウブ科の植物で、熊本大学薬学部薬用植物園の薬草データベースによると花は肉穂花序をつけます。淡い黄緑の棒状で、リースの主役になる姿ではありません。
よく混同されるのがハナショウブとアヤメで、こちらはどちらもアヤメ科。大阪市の解説によると、ハナショウブの開花は5月下旬から6月下旬、アヤメは5月中旬から下旬です。つまり5月5日の時点ではどちらもまだ咲いていません。5月5日に掛けるリースは青と白のカラーやグリーンで菖蒲の「色」を借りるほうが素直で、アヤメらしい細い花弁を入れたいなら中旬以降に差し替えるのが実際の花期に合います。
この使い分け、お花でござるでも毎年5月にご質問をいただきます。「菖蒲のリースをください」と言われたとき、お花でござるはまず「湯に入れる葉のほうですか、紫の花のほうですか」と伺うようにしています。ここを取り違えると、届いたときに「思っていたものと違う」になってしまうので。
土台をひとつ決めて花材だけ差し替える
同じ土台に花材を差し替えれば、年4回の飾り替えでもリースは1つで足ります。玄関に飾るリースを季節ごとに全部買い足す必要はありません。ここが、リースを日々組んでいるお花でござるが一番お伝えしたいところです。
差し替えに向く土台の条件
差し替え前提でリースを持つなら、土台の選び方が結果を左右します。お花でござるが差し替え用にご提案するときの基準は3つあります。
径は玄関ドア用なら25〜30cmあたりが扱いやすいところ。小さすぎると花材を入れ替えたときに全体のバランスが崩れやすく、大きすぎると外して保管する場所に困ります。
素材は蔓(つる)や籐を巻いたリング、あるいはワイヤーベースが向きます。花材を留めたり外したりを何度も繰り返すため、土台自体がしっかりしていないと形が保てません。逆に、グルーで全面を埋めたタイプは差し替えができません。
そして見落とされがちなのがワイヤーの余白です。土台の全周をぎっしり埋めず、3割ほど土台の蔓が見える設計にしておくと、そこが次の季節の差し込み口になります。お花でござるでは、差し替え前提のご相談をいただいたときは意図的にこの余白を残して組みます。
同じ土台で春夏秋冬を飾り替えた実例
同じ蔓の土台を使い、花材だけを入れ替えて4パターン組んだことがあります。同じアングルで撮った4枚を並べると、土台が共通だと気づく方はほとんどいません。
春は桃色と若草色。桃、菜の花、若葉を全体に散らします。夏は青と白に振り切って、アジサイとグリーンを密に。秋は橙と茶。ダリアと実物を左下に寄せ、上を空けて風を通す。冬は赤・緑・白で、ヒノキとコットンを重ねてボリュームを出す。
差し替えるのは花材の6〜7割で、残りはベースのグリーンとして通年で使い回します。この方法だと、1回の差し替えで動かす花材は10〜15本ほど。作業時間は30分から1時間くらいです。
外した花材は、ジッパー付きの袋に季節ごとに分けて入れておきます。「春」「夏」と書いた袋が4つあるだけで、次の差し替えが探し物から始まらずに済む。この袋分けを始めてから、お客さまに「掛け替えが面倒じゃなくなった」と言われるようになりました。
カスタムオーダーで多い季節と色
お花でござるのカスタムオーダーで季節飾りのご相談が集まるのは、11月から12月、それと3月です。11月から12月はクリスマスとお正月、3月はひなまつりと新年度の入れ替わり。この3ヶ月に問い合わせの山があります。
色のご希望で多いのは、冬が赤と深緑、春が桃色と白、夏が青と白、秋が橙と茶。ここ数年で増えているのは、季節を問わず「白とグリーンだけで」というご希望です。玄関の外壁や玄関ドアの色を選ばず、季節が変わっても浮かない。差し替え前提で長く使う方が選びがちな組み合わせだと感じています。
差し替えを前提にした土台づくりは、既製品のリースを買うのとは考え方が違います。「春夏秋冬で差し替えたい」とお伝えいただければ、余白を残した設計でお作りします。カスタムオーダーからご相談ください。
玄関リースの買い替え回数と持ち数の現実解
玄関リースは年2回の飾り替えから始めるのが現実的です。年に12個買う必要はありません。持ち数と掛け替え回数の組み合わせを3つのプランで整理します。
| プラン | 掛け替え回数 | 必要な持ち数 | 掛け替え日の例 | 向いている方 |
|---|---|---|---|---|
| 最小プラン | 年2回 | 2個 | 12月13日/2月3日 | 初めて季節飾りをする方 |
| 標準プラン | 年4回 | 土台1個+花材4組、または2〜3個 | 3月3日/6月上旬/9月9日/12月13日 | 季節感を出したい方 |
| 行事プラン | 年6回以上 | 土台1個+花材6組 | 1月7日/3月3日/5月5日/7月7日/9月9日/12月13日 | 行事を家族で楽しむ方 |
数字を本文でも押さえます。年2回なら2個、年4回なら土台1個と花材4組(またはリース2〜3個)、年6回以上なら土台1個と花材6組。土台を使い回す前提なら、持ち数は掛け替え回数と同じにならなくて済みます。
予算の考え方も書いておきます。差し替え用の花材は、リース1つを丸ごと作るより費用を抑えられます。土台と、通年で使うベースのグリーンは1回買えば数年もつ部分。ここが浮きます。年4回替えたいけれど予算は年1個分しかない、という場合は、初年度に土台込みで1個しっかりしたものを持ち、2年目以降に花材を1組ずつ足していく進め方をおすすめしています。ご予算に応じて組み方を変えられるのが、カスタムオーダーの利点です。
最初の1年は年2回で十分だと思います。冬とそれ以外。これができるようになってから、春と秋を足す。一気に4個買って、結局2個しか掛けなかったという方も少なくありません。
夏と梅雨が屋外リースの消耗期
屋外に掛けたリースが最も傷むのは、梅雨から夏です。玄関ドアの外に飾る前提なら、紫外線と湿気の強い時期をどう避けるかが寿命を分けます。
紫外線は夏に最も強く、冬に最も弱い。気象庁の紫外線のデータ集によると、日最大UVインデックスの月平均値はつくばで7月が最大(年により5.1〜8.5)、1月が最小(1.6〜2.1)です。年によって振れ幅はありますが、7月は1月の3〜5倍程度という開きになります。この数値について気象庁の解説によると、日最大UVインデックスの月別累年平均値は1997〜2008年の平均で、衛星のオゾン量・日照時間などを用いて解析したものです。
湿気のほうも数字があります。気象庁の梅雨入り・梅雨明けの平年値によると、関東甲信地方の梅雨入りは6月7日ごろ、梅雨明けは7月19日ごろ(1991〜2020年の30年平均)です。そもそも梅雨とは何かというと、気象庁のFAQによると、晩春から夏にかけて雨や曇りの日が多く現れる現象、またはその期間のことです。全国を、梅雨のない北海道を除いて12地域に分けて発表されます。
つまり6月7日ごろから7月19日ごろまでが湿気の山で、そのまま7月の紫外線の山に入ります。屋外リースにとって、6月から8月は一年で一番きつい3ヶ月です。
お花でござるでも、屋外に置いた花材を比較したことがあります。同じ赤い花材を、南向きの軒下に出したものと室内に置いたものとで並べると、ひと夏で赤の濃さがはっきり違いました。特に赤と紫は退色が目で見て分かるようになります。写真で比べると、退色した側は色が「白っぽく薄まる」というより、深みが抜けて平たい色になります。
素材の性質も押さえておきます。アーティフィシャルフラワーは主にポリエステル・ポリエチレンで作られており、株式会社東京堂(MAGIQ公式)の説明によると、耐久性に優れ、劣化しにくくリメイクしやすい素材です。水やりも不要。
一方で、染めた繊維が光で色を変えることは、繊維業界で試験項目として扱われている現象です。一般財団法人日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の解説によると、色が薄くなる・色相が変わることを「変退色」と呼びます。そして一般財団法人ボーケン品質評価機構によると、染色物が光にどれだけ耐えるかはJIS L 0842・0843の耐光堅ろう度試験で評価されます。つまり布の色落ちは「起きるかどうか」ではなく「どれだけ耐えるか」で測られる性質のもの。屋外の直射日光に置く前提なら、色の変化は織り込んで選ぶことになります。
お花でござるの実務としては、屋外用として売られている花材を選び、そのうえで夏だけ室内に回す運用をおすすめしています。6月から8月の3ヶ月、玄関の外に掛けているリースを玄関内の壁やシューズクロークの扉に移す。外には水濡れと日差しに強い素材だけのものを掛けるか、その期間は表札まわりのグリーンだけにする。これだけで、リースの寿命が年単位で変わります。夏に室内へ入れたリースは、翌年の秋にまた玄関の外へ戻せます。
紫外線と湿気の話は素材ごとに違いも出ます。天然素材のリースについてはソラフラワーリースの魅力と選び方とソラフラワーのお手入れ方法と長持ちさせるコツにまとめています。
アルミの玄関ドアにマグネットは付かない
玄関ドアにマグネットフックでリースを掛ける方法は、ドアの表面材によって使えるかどうかが決まります。アルミ製のドアにはマグネットが付きません。ここを知らずにマグネットフックを買ってしまう方が、毎年いらっしゃいます。
LIXILの公式Q&Aによると、玄関ドアの高断熱仕様・断熱仕様は表面材が鋼板のためマグネットを付けられますが、アルミ仕様はアルミのため付きません。さらに注意点が3つ挙げられています。鋼板であっても磁力によっては付かない場合があること。化粧材や額縁の部分はアルミのことがあること。そして電気錠を使用している場合はマグネットの影響で動作不良の可能性があるため、取付は非推奨とされていること。
もうひとつ、LIXILの取扱いのお願い(MAN-914)には、マグネット関連製品の使用による化粧面の損傷や、落下によるケガ・損害についてメーカーは責任を負わない旨の注意表示があります。マグネットは手軽ですが、自己責任の範囲だと理解して使う道具です。
掛け方の方式を並べて比べます。粘着フックの欄は、お花でござるがマルシェやカスタムオーダーでご相談を受けた範囲での実感です。
| 方式 | 使える条件 | ドアへの影響 | 掛け替えの手軽さ |
|---|---|---|---|
| マグネットフック | 表面材が鋼板のドア。アルミ仕様は不可。電気錠つきは非推奨 | 化粧面の損傷リスクあり(メーカー責任外) | 最も手軽 |
| 粘着フック | 平滑な面。製品の使用可能温度と屋外可否を必ず確認 | お花でござるにご相談があった中では、剥がすときに塗装が一緒に持っていかれた例がある | 貼り替えが必要 |
| ドアハンガー(上枠に掛ける) | ドア上端に引っ掛けられる形状 | ドア面に触れない。傷めにくい | 掛け替えが速い |
| リボン吊り(上枠・フックから) | 掛ける支点が確保できる場所 | 支点次第。ドア面には無傷 | やや手間 |
粘着フックについては、お花でござるにも「夏に落ちた」「剥がしたら塗装がめくれた」というご相談が届きます。屋外で使うなら、その製品が屋外使用に対応しているか、使用できる温度の範囲がどこまでかを、パッケージやメーカーの表示で必ず確認してください。粘着剤の条件は製品ごとに違うので、お花でござるの側で「大丈夫です」と一律には申し上げられない部分です。
お花でござるが賃貸や新しい戸建ての方におすすめしているのは、ドア上端に引っ掛けるドアハンガーです。ドア面に何も貼らず、何も付けない。築8年の戸建てでドアの化粧面を気にされる方には、まずこれをご案内します。
方式ごとの取り付け手順や、賃貸で傷をつけない工夫は玄関ドアにリースを飾る方法。賃貸・マンションでも傷つけず落とさない取り付け方に詳しく書いています。掛け替え回数が増えるほど、掛け方の楽さが続くかどうかを決めます。
季節ごとの色と花材、お花でござるの考え方
季節の色選びは、玄関の背景色から逆算するのがお花でござるの設計です。ここから先は自社の設計判断としてお読みください。公的な決まりはありません。
白い玄関ドアなら濃い色が映えるので、冬の赤や秋の橙をしっかり効かせられます。木目調のドアは茶系と同化しやすいため、秋は橙より黄を主軸にしたほうが輪郭が出ます。濃い色のドアには白とクリームを多めに。同じ「秋の橙」でも、ドアの色で最適な濃さが変わります。
季節ごとの花材と、一般に言われる花言葉を並べておきます。花言葉は地域や資料によって異なるため、いずれも一般にそう言われているものとしてご覧ください。開花期は公的な植物園・公園の公開データに合わせました。
| 季節 | 花材 | 一般に言われる花言葉 | 玄関に向く理由 |
|---|---|---|---|
| 春 | ミモザ(ギンヨウアカシア) | 「感謝」「友情」などとされています | 2月下旬〜3月下旬に咲く花で、黄色が遠目から明るく見える |
| 春 | チューリップ | 「愛の告白」「思いやり」などとされています | 丸い花形がリースの円と合う |
| 春 | 桃 | 「私はあなたのとりこ」などとされています | 3月3日の桃の節句と結びつく |
| 夏 | アジサイ | 「家族の絆」「和気あいあい」などとされています | 房が大きく、少ない本数でも玄関で映える |
| 夏 | クチナシ | 「洗練」「優雅」などとされています | アカネ科の花で花期は5〜7月。白が涼しく見える |
| 夏 | ヒマワリ | 「憧れ」「あなただけを見つめる」などとされています | 夏の玄関で一輪でも主役になる |
| 秋 | 菊 | 「高貴」「高潔」などとされています | 切り花の出荷量が最も多い花で、和洋どちらの玄関にも収まる |
| 秋 | リンドウ | 「誠実」「悲しんでいるあなたを愛する」などとされています | 青紫が秋の橙を引き締める |
| 秋 | センニチコウ | 「不老不朽」「変わらぬ愛情」などとされています | 7月中旬〜10月中旬と花期が長く、秋の飾りに使いやすい |
| 冬 | 椿 | 「控えめな素晴らしさ」「気取らない優美」などとされています | 濃い葉と花の対比が冬の玄関で締まる |
| 冬 | 南天 | 「機知に富む」「福をなす」などとされています | 赤い実がお正月飾りと相性がいい |
表に書いた開花期の出典を挙げておきます。ミモザ(ギンヨウアカシア)の2月下旬〜3月下旬と、センニチコウの7月中旬〜10月中旬は国営明石海峡公園の花情報によるもの。クチナシがアカネ科で花期5〜7月であることは熊本大学薬学部薬用植物園の薬草データベースによります。
センニチコウについて一言添えると、生花の花期は10月中旬までですが、アーティフィシャルフラワーやドライにしてしまえば11月の七五三の飾りにも使えます。名前どおり色が長く保つ花で、お花でござるが11月のリースにセンニチコウを入れるのはこの理由です。生花のカレンダーと、造花で組めるカレンダーは別で考えて構いません。
菊について数字も添えます。農林水産省の子ども相談ページによると、2025年産の切り花類で出荷量が最も多いのは「きく」で、次いで切り枝、ばら。切り花類の総出荷量は28億4,600万本です(作況調査(花き))。日本で最も多く出荷されている花が菊であること、これは秋の玄関に菊を選ぶことがまったく特別ではない、という後押しになります。
花材や素材の呼び方で迷ったときは、アーティフィシャルフラワーとリースの用語集をご覧ください。アーティフィシャルフラワー、プリザーブドフラワー、ドライフラワー、スワッグの違いをまとめてあります。リースとスワッグを迷う方にはリースとスワッグの違いとは?も。玄関の向きや位置が気になる方は玄関リースと風水の関係に色と位置の話をまとめています。
掛けていない9ヶ月のリースをどうしまうか
季節ごとに掛け替えるなら、掛けていない期間の保管が寿命を決めます。年4回の掛け替えなら、1つのリースは9ヶ月しまわれたままです。飾っている期間より、しまっている期間のほうが長い。
型崩れが一番多い失敗です。買ったときの箱に無理に押し込むと、花が一方向に潰れます。お花でござるがお伝えしているのは、平置きにすること。リースを立てて棚に挟むと、自重で下側の花材が押し潰されます。押入れやクローゼットの上段に平らに置く。上に物を重ねない。これだけで型崩れはほぼ防げます。
埃は、しまう前に落としておくのが正解です。埃を乗せたまま9ヶ月置くと、繊維に絡んで取れにくくなります。掛け替えるその日に、外したリースを軽くはたいてから収納する。この一手間をルーティンにしてしまえば、来年また掛けるときの手入れが要りません。
湿気は保管場所で決まります。押入れの下段や北側の物置は避ける。乾燥剤をひとつ入れておくと安心です。ソラフラワーなどの天然素材を含むリースは特に湿気に弱いので、密閉した袋に入れるより、風が通る不織布の袋のほうが向きます。
埃の落とし方や普段の手入れは造花リースのほこり掃除と長持ちのコツに詳しくまとめました。掛け替え運用をするなら、掃除の手順とセットで覚えておくと楽になります。
そしてもうひとつ。しまうときに、次に掛ける月をメモして一緒に入れておく。「3月」と書いた紙を1枚。これで、来年の掛け替えのときに探す時間がゼロになります。地味ですが、続けている方の多い工夫です。
季節のリースをこれから始める方へ
玄関リースは、行事の日付をカレンダーに登録するところから始まります。飾るものを選ぶより先に、替える日を決める。それが空っぽの玄関と季節外れの玄関、両方を防ぐ唯一の方法です。
12月13日と2月3日。まずこの2日だけ登録して、冬と春の2個で回す。慣れてきたら3月3日と9月9日を足して年4回に。土台を1つ使い回せば、リースは1つで足ります。
季節ごとの差し替えを前提にしたリースは、余白を残した設計で組む必要があります。玄関ドアの色、飾る向き、掛け替えたい季節の数をお伝えいただければ、それに合わせてお作りします。マルシェ出店時には実物を手に取っていただけますので、出店予定はInstagram(@ohanadegozaru)でご確認ください。
新築や引っ越しのタイミングで玄関を整えたい方は新築祝い・引っ越し祝いに花のリースをも参考になります。12月の飾り始めについてはクリスマスリースはいつから飾る?、お正月はお正月飾りはモダンなしめ縄リースで、10月はハロウィンリースで玄関を秋色ににそれぞれまとめています。
よくある質問
玄関リースは一年中飾っていても変ではありませんか
一年中飾っていて問題ありません。ただし、行事色の強いリースを季節外れに掛けたままにすると、季節外れの印象になります。松や水引が入ったお正月リースを2月に、ヒノキとポインセチアのクリスマスリースを1月に掛けたままにするのが、一番気になられるパターンです。白とグリーンだけで組んだリースなら、行事色がないため一年中掛けていても違和感が出ません。通年で1つだけ持ちたい方には、この配色をおすすめしています。
リースの飾り替えは年に何回が目安ですか
年2回から4回が現実的な目安です。お花でござるでは、初めての方には年2回(12月13日ごろの冬と、2月3日ごろからの春以降)をおすすめしています。慣れてきたら3月3日・6月上旬・9月9日・12月13日の年4回へ。年6回以上にする場合は、リースを買い足すのではなく土台1つに花材を差し替える方法に切り替えると、費用と保管場所の両方が抑えられます。
ミモザのリースはいつから飾れますか
2月上旬から3月上旬が飾りどきです。国営明石海峡公園の花情報によるとミモザ(ギンヨウアカシア)の開花は2月下旬から3月下旬ですが、玄関飾りは実際の開花より少し早めに掛けるほうが季節を先取りできます。お花でござるは2月3日ごろの節分明けにミモザリースへ替えて、3月3日の桃色に差し替える流れをおすすめしています。生花のミモザは乾くと粒が落ちるため、玄関に長く掛けるならアーティフィシャルフラワーのほうが扱いやすいです。
端午の節句のリースに菖蒲は使えますか
葉の形を模した造花なら使えますが、花のショウブは5月5日には咲いていません。菖蒲湯に使うショウブはショウブ科で、熊本大学薬学部薬用植物園の薬草データベースによると花は肉穂花序、淡い黄緑の棒状でリース向きの姿ではありません。紫の花で知られるハナショウブとアヤメはアヤメ科で、大阪市の解説によるとハナショウブの開花は5月下旬〜6月下旬、アヤメは5月中旬〜下旬。5月5日には青と白のカラーやグリーンで菖蒲の色を借り、紫の花を入れたいなら5月中旬以降に差し替えるのがお花でござるのおすすめです。
夏の直射日光でリースは色あせますか
直射日光の当たる場所では色の変化が起きます。染めた繊維が光で色を変えることは繊維業界で試験項目として扱われており、日本繊維製品品質技術センター(QTEC)の解説によると色が薄くなる・色相が変わる現象を「変退色」と呼びます。ボーケン品質評価機構によると、染色物が光にどれだけ耐えるかはJIS L 0842・0843の耐光堅ろう度試験で評価されます。紫外線の強さには季節差があり、気象庁の紫外線のデータ集によると日最大UVインデックスの月平均値はつくばで7月が最大(年により5.1〜8.5)、1月が最小(1.6〜2.1)です。お花でござるでは屋外用として売られている花材を選んだうえで、6月から8月の3ヶ月だけ室内へ移す運用をおすすめしています。実際、南向きの軒下に出した赤い花材は、ひと夏で室内のものと色の濃さが違ってきます。
使わない季節のリースはどう保管すればいいですか
平置きで、上に何も重ねずに保管してください。立てて棚に挟むと自重で花材が潰れます。しまう前に埃を軽くはたいておくと、繊維に埃が絡まず翌年の手入れが要りません。湿気の多い場所(押入れの下段、北側の物置)は避け、乾燥剤をひとつ添えておくと安心です。天然素材を含むリースは密閉袋より風の通る不織布の袋が向きます。次に掛ける月を書いた紙を一緒に入れておくと、掛け替えのときに迷いません。

大手銀行員や学童保育所指導員、情報新聞紙の記者兼編集者、都内にある造花専門店での受付など、さまざまな業種に勤務。
現在は2児の母をやりながら、アーティフィシャルフラワーを使用したリースを作り、イベント出展やネット販売しています。
【保有資格】
・フラワーデコレーター2級ライセンス
・保育士

